【特集1】
日常生活で気軽に「体調の見える化」を実現
   〜光ドップラー効果を応用した小型・薄型の血流量センサーの開発〜

写真:光ドップラー効果を応用した小型・薄型の血流量センサーの開発

近年、ストレスをはじめとする体調の変化を「見える化」し、予防医療に活かそうという社会的なニーズが高まっています。京セラは、「光ドップラー効果」の原理を応用し、採血など、体への負担をかけることなく、レーザー光を使い、血流量を測定する技術を開発しました。将来的には、ストレスやリラックス状態を確認できるイヤホンや、脱水、熱中症、高山病の予防に貢献するウェアラブル機器など、モバイルヘルス用途への搭載を期待されています。

光ドップラー効果とは

ドップラー効果は、音波や電波など、波の周波数が発生源や観測者との相対的な速度によって異なって観測される現象です。例えば、救急車のサイレンは、近づく時には高く聞こえ、遠ざかる時には低く聞こえます。この現象は、光の場合でも同様に発生し、近づく光は青っぽく、遠ざかる光は赤っぽく見えます。これを「光ドップラー効果」と呼んでいます。

血流量センサーの原理

京セラでは、「光ドップラー効果」を応用し、日常生活で気軽に血流量の傾向や変化を調べることが可能となる血流量センサーを開発しました。このセンサーを搭載した機器を耳や指、額などに接触させることで皮下組織内の血流量が測定できます。発光素子(レーザー)からの光が血管内の赤血球に当たり反射すると、その速度に応じて、反射した光の周波数が変化する「周波数シフト(ドップラーシフト)」が発生します。血流量センサーは、その周波数シフト(血液速度が速いほどシフト量が大きい)に加え、反射光の強さ(より多く赤血球数に反射するほど強い)を受光素子で検出します。なお、受光素子には、皮膚から反射された光なども検出されますが、ドップラーシフトした周波数成分を抽出し、血流量を算出します。

写真:血流量センサーの原理

血流量センサーの原理

ウェアラブル機器やスマートフォンへの展開

近年、注目が集まっているウェアラブル機器は、これまでフィットネス用途が中心となっていましたが、慢性疾患や高齢者介護、健康推進プログラムなど、ヘルスケア分野での採用が進んでいます。京セラが開発した血流量センサーは、部品事業で長年培ってきた技術により、レーザーダイオード(光を照射する半導体)とフォトダイオード(光検出器として働く半導体)を1つのセラミックパッケージの中に組み込むことにより、高S/N比、小型・薄型化と、低消費電力(出力0.5mW)を実現しました。現在、ウェアラブル機器やスマートフォン等への搭載に向けて、脱水、熱中症、高山病などの兆候を検知するためのアルゴリズムの開発に取り組んでいます。

※信号 (Signal) と雑音 (Noise) の比。この比が高いほど光学的に感度が高い。

写真:血流量センシングイヤホン 血流量センサー

血流量センシングイヤホン

血流量センサー
<サイズ:3.2×1.6×0.9mm>

測定技術の開発部門の声

医療・ヘルスケア分野のテーマとして、初めて血流計測技術の開発に携わりました。多くの課題に直面し苦労しましたが、他部門との連携・協力により、高精度な測定技術を確立することができました。現在は、その測定技術をベースに、新しいアルゴリズム、機器・システムの開発を行っています。今後も、医療・ヘルスケア分野の課題を解決し、皆様に喜んでいただけるような技術・製品の開発を行っていきます。

センサー開発部門の声

セラミックパッケージは、スマートフォンや、カメラモジュール、LED照明など、幅広い製品に採用いただいていますが、これら既存のビジネスから一歩踏み出した新たな展開を模索していました。そのような時に、別の開発部門から相談があり、開発を開始したのがこの血流量センサーです。経験がない未知の分野であったため、どのようなセンサーにすれば、実際に使用するお客様に満足いただけるか悩み、苦心しました。従来の血流量センサーは、サイズも大きく高価で、誰もが簡単に測定できるようなものではありませんでした。そこで、光学的な感度を追求するだけでなく、日常生活で気軽に測定できるよう、小型・薄型、低消費電力という条件で開発に取り組みました。京セラ製の血流量センサーを搭載したデバイスを世の中に提供していくことで、ヘルスケア分野の発展に貢献していきます。

   
 
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