社会活動

京都賞

京都賞(稲盛財団)とは

「京都賞」は、科学や技術、思想・芸術の分野に大きく貢献した方々に贈られる日本発の国際賞です。

創設者である稲盛は、「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」という自身の理念にもとづき、科学・文明の発展や人類の精神的深化・高揚に著しい貢献をした人々に対する顕彰事業や、すぐれた研究への助成事業、また社会啓発事業を行うために、1984年に私財を投じて稲盛財団を設立しました。
そして翌年の1985年、稲盛財団はその中心的な取り組みとして、国際的な顕彰事業である「京都賞」を創設しました。

京都賞は、【先端技術部門】【基礎科学部門】【思想・芸術部門】の3部門からなり、毎年受賞者には、メダルやディプロマのほか賞金が贈られます。

メダルと第一回京都賞ディプロマ

稲盛財団について

稲盛は若い頃から技術者、経営者として真摯に仕事に取り組み、京セラの発展とともに、相当の個人的資産を得ることができました。しかし稲盛には、「個人の資産は社会からの一時的な預かり物で、いつかは社会にお返しすべきもの」という思いがあり、自らがファインセラミックスの研究開発でさまざまな賞を受ける中で、「自分がいただくのではなく、さしあげる側にならなければ」と強く感じるようになりました。

その後さらに思いを深めた稲盛は、自らの人生観を具現化し、これまで自分を育んでくれた社会にお返しをするため、1984年4月、52歳の時に、私財約200億円を投じて稲盛財団を設立しました。
稲盛財団は「京都賞」顕彰事業、研究助成事業、社会啓発事業の3つの事業を通して、国際相互理解の増進に努め、人類の平和と繁栄に貢献することを目的としています。

京都賞の理念

私は昭和34年(1959年)に京セラ株式会社を設立し、セラミックの技術者として、エレクトロニクス・セラミックス、エンジニアリング・セラミックス、ストラクチャー・セラミックス等、さまざまなセラミック材料の開発に努力し、ニュー・セラミックス、ファイン・セラミックスの時代といわれる今日を築くことに、大いなる貢献を果してきたと思っております。

創立25周年、4分の1世紀を経過した今日、我々は今までの昼夜を分かたぬ、誰にも負けない努力の成果と、同時に神の導きがあって、年間売上額2,300億円、税引前利益530億円※1という企業にまで発展をして来ました。この時にあたり、かねてから私の人生観である「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」という理念にもとづき、私が現在所有している京セラ株式会社の株式および現金、計約200億円※2相当を醵出し、人類の科学の発展、文明の発展、又精神的な深化、高揚の面に著しく貢献した人々に対し、京都賞を贈呈し、人類の進歩、発展にいささかでも貢献したいと思い、ここに京都賞の創設をいたしました。

この京都賞を受賞される資格者は、京セラの我々が今までにやってきたと同じように、謙虚にして人一倍の努力を払い、道を究める努力をし、己を知り、そのため偉大なものに対し敬虔なる心を持ちあわせる人でなければなりません。またその業績が世界の文明、科学、精神的深化のために、大いなる貢献をした人でなければなりません。さらにその人は自分の努力をしたその結果が真に人類を幸せにすることを願っていた人でなければなりません。

この京都賞を創設するについてはふたつの大きな理由があります。ひとつは、冒頭に述べた私自身の人生観にありますように、この世に於ける人類の最高の行為は、「人のため、世のために尽す」ということでありますので、今日まで私をはぐくんでくれた人類および世界のためにお返しをしたいということであります。ふたつには、人知れず努力をしている研究者にとって、心から喜べる賞が世の中にあまりに少ないことであります。少なくとも人一倍努力をし、人類の科学、文明、精神的深化の面で著しく貢献をした人を顕彰し、今後その面でのますますの発展の刺激になってくれればという気持からであります。

今後、人類の未来は、科学の発展と人類の精神的深化のバランスがとれて、初めて安定したものになるであろうと確信いたしております。現在、科学文明はますます発展をとげておりますが、人類の精神面における研究は、科学に対して大きく遅れをとっております。物事には、陰と陽、暗と明というように、プラスとマイナスという必ず二面的な世界が拡がっているはずであります。この両面がバランス良く解明され、発展してこそトータルの安定が果せるはずで、一方の面だけでの発展、肥大化は、宇宙のバランスをくずし、人類の不幸につながっていくと思っております。願わくは、この京都賞がこの両面の今後の発展に大きく寄与し、新しい哲学的パラダイムの構築を促進するいささかの刺激剤となれば、この上なく幸せに思います。

昭和59年4月12日
稲盛和夫

※ 1 1984年(昭和59年)3月末の決算金額
※ 2 1984年(昭和59年)財団設立当時の金額

その他京都賞についての詳細は京都賞ウェブサイトをご覧ください。