エピソード

京都セラミック創業(1959年)-心をベースとして経営する-

1959年4月1日、京都セラミック株式会社の創立記念式典が、本社工場の2階事務所で執り行われました。京都セラミックという名前は、世界に通用する「京都」の名に、「語感に迫力があり現代的であるから」という稲盛たっての希望で「セラミック」が付けられました。
創業時の役員は5名。誓詞血判状に署名した8名と転職者3名が幹部となり、さらに新たに採用した17名の社員の合計28名での船出でした。

資金も設備もない中、苦楽を共にした仲間を中心にスタートした京セラ。稲盛は「何をよりどころにすべきか」と考ました。そして出した答えは、やはり「人の心」が何よりも大切だということでした。うつろいやすく不確かなものも人の心なら、ひとたびお互いが信じ合えば、限りなく強固で信頼に足るものも人の心です。このように、「人の心と心の結びつき」が京セラの出発点となったのです。

創立記念式典の夜、門出を祝うささやかな宴の席で、稲盛は役員、幹部を前に「今にこの原町一になろう。原町一になったら西ノ京一の会社を目指そう。西ノ京一になったら中京一、京都一、日本一、そしてもちろん世界一だ」と気宇壮大な夢を熱っぽく語りました。
その後もことあるごとに強い願望を込めて「今にきっと日本一、世界一」と言い続け、その強烈な思いは、やがて実現する方向へと現実を動かし始めるのです。