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Material

材料技術

セラミック技術

京セラはセラミック人工骨のパイオニアとして、日本で最初にアルミナ・セラミック骨頭を開発し、今日まで、その品質向上に努めてまいりました。
近年、アルミナに続く次世代の高強度材料ジルコニアを生体材料として応用することに成功し、1995年にはジルコニア製骨頭ボールを、2001年には人工膝関節におけるジルコニア製の大腿骨コンポーネントを開発しました。

圧縮強度

アルミナ骨頭ボールは、その数万例に及ぶ臨床実績により、長期における安全性と有用性が明らかとなりつつあります。アルミナ骨頭ボールは、臨床上充分な強度を有していますが、セラミックスの特性を理解した上での取り扱いが必要であり、セラミック骨頭ボールのさらなる強度の向上は、意義のあるものと考えられます。ジルコニア・ボールは、この製品強度においてアルミナ・ボールの約1.5倍の強度を有していることが確認されました。

  • 高純度アルミナ・セラミックス
    (平均粒径:1.3μm)
  • ジルコニア・セラミックス
    (平均粒径:0.3μm)

耐摩耗性

アルミナとジルコニアのポリエチレンに対する摩耗特性を比較検討する目的で、ピン・オン・フラット摩耗試験を実施しました。比較対照は、Co-Cr-Mo合金とし、ポリエチレン・ピンの重量減を測定し摩耗量としました。
その結果、ジルコニア・セラミックスにおいてもアルミナ・セラミックスと同等の摩耗特性が確認できました。

金属技術

京セラは、1986年よりチタン材料の医療分野への応用に関する研究を開始し、それを支える熱処理技術の研究を行ってきました。その中から、整形外科用インプラントに適した新しいチタン合金を選び出し、臨床応用を目指して開発を続けてきました。その結果、生体適合性と強度に優れたバナジウムフリーチタン合金の開発に成功し、人工股関節ステムとして製品化しました。その後、2002年には、この京セラが開発したバナジウムフリーチタン合金が医療用チタン合金としてJISに制定され、さらに、2007年10月にはTi-15Mo-5Zr-3Al合金が国際規格ISO 5832‐14:2007※として採用されました。

チタン合金の耐食性

京セラが開発したバナジウムフリーチタン合金であるTi-15Mo-5Zr-3Al合金及びTi-6Al-2Nb-1Ta-0.8Mo合金の耐食性を検討する目的で、分極試験を実施しました。比較対照は、Ti-6Al-4V合金とし、電流密度を測定しました。
その結果、Ti-15Mo-5Zr-3Al合金及びTi-6Al-2Nb-1Ta-0.8Mo合金はTi-6Al-4V合金と同等の耐食性を有していることが確認できました。

チタン合金の強度

Ti-15Mo-5Zr-3Al合金は、京セラの医療用材料としてのチタン合金の中で最も高い強度を有しています。しかし、チタンポーラス層形成のための過熱処理を施すことにより、その疲労強度はTi-6Al-2Nb-1Ta-0.8Mo合金よりも低下します。そのため、Ti-15Mo-5Zr-3Al合金はセメンテッドタイプのインプラントに採用されています。
一方、Ti-6Al-2Nb-1Ta-0.8Mo合金は、高強度であることに加えて、加熱処理を施しても、人工股関節用ステムの材料として十分な強度を維持できます。その特性を活かして、Ti-6Al-2Nb-1Ta-0.8Mo合金はセメントレスタイプのインプラントに採用されています。

規格番号 : ISO 5832-14:2007
標題 : Implants for surgery--Metallic materials―Part 14:Wrought titanium 15-molybdenum 5-zirconium 3-aluminium alloy

ポリエチレン技術

クロスリンク・ポリエチレンは、60Coによるγ線照射処理により架橋レベルを向上させた超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)です。ポリエチレンにγ線を照射すると、ポリエチレンの分子鎖間に架橋が生じ、人工関節の摺動面部材として使用した場合には、耐摩耗性が向上することが知られています。

原材料のUHMWPEのブロック材をγ線照射すると、その高いエネルギーを吸収して、UHMWPE分子鎖の一部分が反応性の高い状態となり、隣接する分子鎖間が結合し、網目構造(クロスリンク)ができます。この反応は材料内部までほぼ均等に起こります。