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Interview

「ローカル5G」が届ける、
オーダーメードの通信が
未来の「つながる」を変えていく

Information & Communications
Introduction

超高速・低遅延の「ローカル5G」通信が、
社会の在り方を、大きく変えていく

ローカル5Gシステム

京セラが各種分野の知見を生かし、実現を目指している「スマートシティ」。
このスマートシティの実現に向けて重要になってくるのが、人・モノ・情報を「つなぐ」技術。暮らしの中のあらゆるものがネットワークにつながっているスマートシティにおいては、今以上に高速・大容量で、安全な通信が必要になってきます。京セラでは、この「つなぐ」を強化するために、超高速・低遅延をかなえる「ローカル5G」の開発、社会実装への挑戦を進めています。企業や自治体の課題に合わせたソリューションの考案やシステムの調整、ハードの設置までを一貫して行うサービスの提供を目指しています。

Technology Data

ローカル5Gシステム

安定性、設置性、柔軟性、堅牢性といった特長を持つ京セラのローカル5Gシステム(Stand Alone / SA)で、製造現場の課題解決をワンストップソリューションで実現します。

ローカル5Gシステム
01

独自の通信網を構築することで、
エリア内を強固に、素早くつないでいく

「ローカル5G」の通信方法の特長や、私たちが普段からスマホを使う際に利用している「パブリック5G」との違い、技術の活用方法などについて、コミュニケーションシステム研究開発部の皆さんにお話を聞きました。
  • 係責任者
    研究開発本部
    システム統括研究開発部
    コミュニケーションシステム研究開発部
    ビジネスソリューション推進部
    ビジネスソリューション開発2課
  • 開発担当者
    研究開発本部
    システム統括研究開発部
    コミュニケーションシステム研究開発部
    ビジネスソリューション推進部
    ビジネスソリューション開発2課
  • 係責任者
    研究開発本部
    システム統括研究開発部
    コミュニケーションシステム研究開発部
    第2開発部 第6開発課
  • 私が京セラに入社したのは、世の中にコードレス電話機が出始めたくらいの時期。電話の概念が大きく変わり、「すごい技術が出てきたな」と思ったのを覚えています。その後、程なくして携帯電話が登場。携帯電話の興隆期から現在まで、通信分野の研究開発に関わってきたからこそ、通信手段に革新が起こるたびに、人々の暮らしが大きく変化していく様子を見てきました。

  • 私も通信一筋で研究開発を行ってきました。携帯電話が登場した時には「暮らしもビジネスもこれまでとは全く違うものになるぞ」と感じました。しかし、当時衝撃的だった携帯電話も、今ではスマートフォンが主流に。電話という概念を超えたこのデバイスによって、また社会が大きく変わりましたよね。

  • 通信方法の観点から考えると1G・2G・3Gくらいまでは、あくまで電話という領域での進化でした。その領域を大きく飛び越えたのは、スマホなどのデバイスの進化に伴って登場した4Gの存在でしょうか。通信と生活との距離がより密接になり、モバイル通信網が「なくてはならない生活インフラ」になってきたなと感じています。

  • そうですよね。そして、近年になって4Gの約100倍の通信速度を誇り、遅延も少ない5Gが登場。この技術によって、また一段と大きな社会の変化が起きるのではないかと感じています。通信事業者各社も5Gのパブリック通信(「パブリック5G」)を開始していますが、京セラが研究開発を進めている「ローカル5G」は、こういった技術とどのような点が異なっているのでしょうか?

  • 私はローカル5Gの「コアネットワーク(以下:CN)」の開発に携わってきました。このCNやその他の5G機器をローカルに設置し、独自の通信網を展開できるのがローカル5Gとパブリック5Gの大きな違いですね。パブリック5Gは、通信事業者がカバーしているエリアでは使えますが、多くのユーザーが利用することを想定し、インターネット上からデバイスにデータをダウンロードする「下り」と、デバイスからインターネット上にデータをアップロードする「上り」のデータ量や速度の上限などが、通信事業者側で設定されています。

  • 確かに、パブリックだと動画やWEBページ、SNSを見るために「下り」の需要は多いですが、スマホから大きなデータをアップロードする「上り」はあまり使用されませんよね。

  • そうなんです。ローカル5Gは基地局そのものから、通信網をつくりあげる技術。そのため、パブリック5Gの通信環境がないエリアでも高速通信ができるようになりますし、「上り」「下り」もお客様が実現したい通信の形に合わせてカスタマイズすることが可能です。お二人はこの技術に基づいて、お客様の要望に合わせたソリューション開発を進めていますよね。主にどういった業種の方から反応をいただいているのでしょうか?

  • 現時点では、工場などで通信網を確立したいという要望が多く上がっています。工場では、「高速大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった5Gの特性と、今お話しされた「上り」「下り」の柔軟なカスタマイズが望まれています。

  • 工場では、画像データを使った監視や管理といった形でローカル5Gが活躍します。製造ラインが順調に流れているか、不良品が発生していないか、危険な場所に人がいないかなど…。工場のあらゆる場所で起こっていることを、各種デバイスが画像で取得。リアルタイムに画像をアップロードしていくことで、大規模な工場内であっても、人の手をかけない管理が可能になっていきます。

  • そのような管理体制を構築するに当たって、同時に何十台ものデバイスがリアルタイム通信を行える5Gの「高速大容量」「低遅延」が役立っているわけなんです。また「上り」の通信量を調整して、デバイスから4Kや8Kなどの超高解像度な画像をアップロードできるのもローカル5Gの強み。この技術によって、より細やかで柔軟な管理方法を実現できると想定しています。

  • 私たちの生活に身近なWi-Fiも、ローカル5Gと同じように通信エリア外に通信環境をつくることのできる技術です。しかし、Wi-Fiには多数のデバイスが接続されると、通信が遅くなってしまうという性質も。工場などで人の安全や製品の品質を管理するためには、ローカル5Gがより適しているということですね。

    • Wi-Fi®は、Wi-Fi Allianceの登録商標です
  • 独自の周波数で通信を行うので、他からの電波干渉を受けにくいのも、ローカル5Gの利点の一つ。超高速で安定した通信を、施設や地域、自治体それぞれが持てるようになることで、通信の未来は大きく広がっていくと思います。今はまだ限られた事例しかありませんが、今後はローカル5Gを手段として、どのようなソリューションを届けていくかを、より幅広く考えていくことが必要だと感じています。

02

「共創ルーム」の活用で交流を活発化
「ローカル5G」の未来を広げていく

2022年4月、みなとみらいリサーチセンター内に開設した「共創ルーム」は、ローカル5Gの機能実演や、ヒアリングを行う場として活用しています。お客様に実際に体感いただくことで得られるご意見や、さらには、どのような課題を抱える企業・自治体とコラボレーションできるのか、どういった業種・目的からのニーズが高いのかの模索に活用しています。
  • ローカル5Gは新しい技術だからこそ、ソリューションとしての活用方法は、まだまだ開拓できる余地があると感じています。共創ルームができたことで、お二人もその可能性の広がりを実感されているのではないでしょうか?

  • ローカル5Gの通信網を構築するためには、免許を取得する必要があります。そのため、これまではお客様がその性能を試し、「ローカル5Gにできること」を気軽に実感していただくことが難しかったんです。いくら技術が秀でていても、「どう活用できるか」がイメージできなければ、欲しいとは思いませんよね。そんな課題を拭い去るために設置されたのが、この共創ルームです。現在は、お客様にローカル5Gの性能を実演し、対話を通してこの通信技術の可能性を広げているところ。意外な業種・目的のお客様が訪問されて、驚くこともあります。

  • 今は、工場などの通信環境がないエリアや施設に対して高速通信環境を届けるという観点から事業化に向けて取り組んでいますが、共創ルームを通じて可能性が広がっていくことで、ローカル5Gと私たちの暮らしがもっと密接につながるといいなと考えています。ローカル5Gは、そもそも京セラが目指すスマートシティ実現のために重要な役割を担う技術。その存在の重要度がさらに増して、コミュニティの礎になればと思っています。

  • スマートシティは、スマホやPCなどのデバイスだけでなく、車や家電などの生活必需品から、工場や病院、学校などの施設まで、あらゆるものがネットワークにつながることで構築されていくコミュニティ。どこにいても、リアルタイムに情報のやりとりをすることが基本になってきますから、通信の高速化・低遅延化が必要です。加えて、誰でも、何でもネットワークにつながるために、多数の同時接続に耐えうる安定性も大切で、このローカル5Gの技術は大いに活躍してくれそうです。

  • 生活の土台を支えるインフラになっていくためには、常につながる安定性、セキュアなつながりをつくる堅牢性は必須です。私自身もスマートシティの実現を目指して、もっと高性能なCNを開発しなければと、日々考えています。

  • 私は、通信技術の発展の先には、必ずコミュニケーションというテーマがあると思っています。コロナ禍でオンラインミーティングなどが当たり前になりましたが、やはり「隣に座った相手と話している」という状況とは、まだ大きな差があると思うんです。スマートシティを見据えたローカル5Gの研究開発を進めることで、目の前にその人がいるかような通信、距離や時間を超えたシームレスなコミュニケーションを実現したいと思っています。

  • そのためには、通信の高速化・安定化だけでなく、画像処理の技術やデバイスの進化も必須。機器の開発からソリューション提案、設備の施工まで、トータルに行える京セラだからこそ、通信だけにとどまらないコミュニケーションという広い視野で、開発を進められると考えています。

  • そういった意味では、研究者同士の交流が活発にできる、みなとみらいリサーチセンターの環境はすごくありがたいですよね。もちろん研究者だけでなく、共創ルームを通じて得られるお客様の声や、これから入社してきてくれる若い人たちの意見も、研究の視野を広げる大きな糧になるはず。さまざまな分野・環境におけるローカル5Gの実証実験を行い、社会実装につなげつつ、培ったノウハウでその可能性をさらに広げていきたいです。

Message

「ローカル5G」という「手段」を、
スマートシティの実現につなげるために

スマートシティの実現を目指して研究が始まったローカル5G。現在は、各所で実証実験が行われ、その性能やサービスとしての形が固まりつつある段階にきています。通信の未来を開くローカル5Gですが、コミュニケーションシステム研究開発部が大切にしているのは、この技術があくまで手段だという姿勢。市場のニーズを拾い集め、思いがけないアイデアを得る中でローカル5Gの可能性を広げる。そしてそれを、スマートシティの実現につなげていく。そんな大局的な未来を目指して、チームはお客様との対話や他分野の研究者との交流を続け、自らの視野と研究の明日を広げていきます。

Interviews

インタビューで紐解く、京セラの挑戦と未来