テクノロジーの力で
健康で豊かな暮らしづくりを。
京セラの予防医療への挑戦

人生100年時代。
健康寿命の延伸を支える独自開発デバイス

「人生100年時代」とも言われる長寿社会が進む今、いかに健康寿命を伸ばし元気に過ごせるかが社会課題となっています。そこで注目されているのが「予防医療」。常日頃から、体重や食生活を適切に管理することが、生活習慣病を防ぐことにつながるのです。
人々が楽しく、長生きできる社会を実現したいという思いで京セラは、人々の健康寿命延伸を支えるためのデバイスやソフトウェア、AI技術の開発を進めてきました。その中の1つに人々が自身の健康状態を手軽にチェック、管理できるデバイスの開発があります。
京セラは、独自開発の新たなデバイスにより、従来にはない小型でシンプルな健康管理ツールを提供することで、人々の健康やQOLの向上に貢献したいと考えています。
糖質ダイエットモニタ
京セラが開発した世界初※1となる、ジャイロセンサーとスマートフォンアプリを搭載した「糖質ダイエットモニタ」は、食事による脈波パターンの変化を利用して糖代謝状態を推定する、体に針を刺す不快感や痛みがない非侵襲タイプ※2の新デバイスです。
糖質ダイエットモニタは、食事をしてから1時間後に、デバイスを手首に押し当てるだけ。Bluetooth®経由でスマートフォンと連携し、脈波の計測を開始。脈波の微細なパターンを感知します。食後に血糖値が上がると、脈波のパターンにわずかな変化が生じる。これに着目して計測するのが新デバイスの特徴です。
10秒ほどで測定が完了し、スマートフォンに結果が表示され、簡単に食後の糖代謝状態の把握ができます。過去のデータと比較することも可能で、食事による健康管理や糖質制限ダイエットの効果確認などが可能となります。
※1:京セラ調べ(2019年10月28日現在)。ジャイロセンサーを用いた橈骨動脈脈波センサーとして
※2:皮膚や身体の開口部に器具の挿入を必要としない手法のこと
※Bluetooth®ワードマークおよびロゴは、Bluetooth SIG, Inc.が所有する登録商標であり、京セラ株式会社は、これら商標を使用する許可を受けています。
家で自分の健康状態を測れるデバイスを。
開発者が語る糖質ダイエットモニタの誕生秘話
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部副責任者研究開発本部
メディカル開発センター
事業開発部 -
医療部門開発担当者研究開発本部
メディカル開発センター
事業開発2課事業開発2係 -
医療部門開発担当者研究開発本部
メディカル開発センター
Mシステム開発部Mシステム開発2課
システム2係 係責任者
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糖質ダイエットモニタの開発はどういう経緯で始まったのですか?
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僕はもともと、通信事業部でヘルスケア関連のスマートフォンアプリ開発に携わっていて、そのときにスマートフォンのジャイロセンサーで脈波の波形を計測できることに気づいた。でも、最初にやろうと思ってたのは血圧モニタなんだよね。
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初めから糖質に着目して開発していたわけじゃなかったんですか?
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そうなんだ。ただ、開発を進めるうちに判明したんだけど、脈波形は食事によって変わるから、血圧値の推定には向いていなかったんだ。それでも、このままでは終われないと思って研究を進めていたら、食前と食後での血糖値の変化に合わせて脈波形も変化していることがわかってね。今度はその脈波で血糖値や糖代謝が推定できるという事に注目して開発を始めたんだ。
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まさか偶然から生まれた技術だったとは。
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血糖値は中性脂肪や栄養状態によって変わるということを追究してきたんだよ。糖尿病など生活習慣病にならないように、未然に防ぐためのデバイスができればと考えたんだ。
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開発において、特に苦労したことはありますか?
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脈波の波形から糖代謝、中性脂肪、血糖値を推定するアルゴリズムを作ることが一番難しいね。アルゴリズムを解析するためには、たくさんのデータを集める必要があるから、実際に病院や患者さんにも協力してもらっているよ。それに、脈波を正確に測るためのセンサー作りにも苦労した。誰もが手軽に、正しく脈の位置を探し当てられないと意味がないからね。計測中にセンサーが動かないよう腕に固定する必要があるから、洗濯ばさみ型、ベルト型、腕時計型など、いろいろな形状を試したよ。
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それで、今の形状に落ち着いたんですね。
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とはいえ、これが完成形じゃないんだ。今も、メカニック専門の研究者と一緒に試行錯誤を続けてるよ。
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そのような情熱を持って製品開発を続けられるのには、どんな理由があるのでしょうか?
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いずれは「病院に行かずとも、家庭で手軽に自分の健康状態を測れるデバイスを作りたい」という思いが強いかな。これひとつで、生活習慣病がみんなわかるとかね。ゆくゆくは、心筋梗塞とか、脳梗塞とか癌とかもわかったら、一番いいですよね。そういうのをやりたいなぁって思っているよ。
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我々メディカル開発センターとして、主に向き合うべき社会課題は皆さんももう認識されているように、少子高齢化。この時代に、人々が健康に生きていける社会にするための貢献をしていくことが、ひとつのモチベーションになっているよね。
ヘルスケア領域で取り組む「人間の機能拡張」。
“ヒューマンオーグメンテーション”

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これからはヒューマンオーグメンテーションにも目を向けていかなければいけませんよね。
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そうだね。我々には健康寿命の延伸に貢献したいという思いがあるから、ヒューマンオーグメンテーションの実現に向けて、いつまでも元気で、若々しく動ける為の様々なテクノロジーを開発していく必要があるね。
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若手として、今後こういうテクノロジーを生み出していきたいというイメージはある?
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「若いときよりもむしろ身体能力が上がるのが本当のヒューマンオーグメンテーションだ」という話があるじゃないですか。僕としても、年齢による不調をゆるやかにするのではなくて、最終的にV字回復させるような世界を目指していきたいと思っています。
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そうだね。それを目指して突き進むには何が必要なのか一緒に考えていきたいし、若手開発者には、アイデアや技術を最終的にはどのような形で活かしていくのかという「アウトプット」を意識して、研究開発に取り組んでほしいと思っているよ。
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