企画展

2019「京セラ発展の原動力『経営理念』を考える」

京セラが今日まで隆々と成長発展してきた最も大きな要因は、一人ひとりが「経営理念」に共鳴し、自分たちの幸せの実現や社会の進歩発展に貢献したいという思いから懸命に働いてきたことにあります。
本企画展では、京セラ発展の原動力である「経営理念」を取り上げ、経営理念誕生の背景と、経営理念の実現に向けたこれまでの挑戦を紹介しました。

京セラの経営理念についてのパネル展示

①経営理念の生成過程

当時は、経営者と従業員が対立するような風潮にあり、そのような中で稲盛は従業員からの反乱を機に、「経営とは経営者の私心を離れた大義名分を持たなくてはならない」という教訓を得ました。京セラの経営理念がどのようにして生成されていったのか、その特徴や、成文化されるまでの過程を紹介しています。

②経営理念に込められた思い

何のために経営するのか、会社経営の確固たる目的を持つことの重要性を、稲盛の考える経営の目的とともに紹介しました。

③経営理念をベースとした挑戦

経営理念をベースとした挑戦の事例を2つ紹介しました。

IBM物語

1966年4月、京セラはIBMの戦略商品「システム/360」に使われるLSIサブストレート2,500万個を受注しました。その受注金額は1億4,900万円で京セラの飛躍につながる大きな受注でした。IBMから求められる高い技術水準をクリアするために開発、製造、すべての工程に工夫を凝らして幾多の艱難辛苦を経て納品を完了させました。このIBMサブストレートの開発、量産という取り組みを通じ、何のために働くのかということが京セラの中で明らかになっていったのです。困難を克服し高い目標を達成することを通じて、仕事のやりがい、生きがいを大切にする、経営理念を体現する組織風土が職場に醸成されていきました。

多角化物語

多角化とは、企業を安定させ、成長するために必要なものであり、稲盛は、名誉会長は「一本足では、その一本足が折れたらつぶれてしまう。だから一本足よりは二本足、二本足よりは三本足で立ちたい。それが多角化である」と述べています。京セラが、この多角化を本格的に推進する契機となったのが1973年のオイルショックでした。雇用を死守し、苦難を乗り越えるため、非常事態を宣言し、徹底的な経費削減、幹部社員の奮起を促しました。加えて、これまでの単一事業では経営基盤が安定しにくいと考え、社員の幸福を追求していくためにも多角化が必要と判断し、苦境打開のための積極策として、次の4つの事業を推進することを打ち出しました。

  1. 再結晶宝石
  2. 切削工具
  3. バイオセラム(人工骨、人工歯根)
  4. 太陽電池

1970年代にこの4つの事業が開発から事業化まで大きく前進していきました。このようにファインセラミックの無限の可能性を信じ、実際に具現化できたのは、ベースには「経営理念」に対する強い思いがあったからなのです。

映像による紹介「京セラヒストリア『経営理念の誕生』」

京セラヒストリア「経営理念の誕生」では、当時の様子をドキュメンタリーで紹介し、経営理念が生まれた背景と、その意味を深堀しています。約13分の映像で再現映像と共に稲盛へのインタビューも収められています。

*稲盛ライブラリーにて視聴いただけますので、ご希望の方は来館時にスタッフまでお声がけください。