Facebookアーカイブ

稲盛に関するエピソード 「新しき計画の成就は只不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに只想え 気高く強く一筋に」

200120

稲盛の思想に多大なる影響を与えた人物の一人として、積極思想を説いたヨガの哲人・中村天風がいます。京セラ創業期、経営における心のあり方の重要性を痛感していた稲盛は、ある時、非売品だった中村天風の著書『研心抄』を知人から紹介してもらい、「目から鱗が落ちるような思いで貪り読んだ」と述懐しています。

そして、1982年1月、京都セラミック株式会社が新生「京セラ株式会社」として新たな船出をするとき(社名変更は同年10月1日)、稲盛は『研心抄』の次の一節を経営スローガンとして掲げました。

「新しき計画の成就は只不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに只想え 気高く強く一筋に」

新しい計画、目標が成就するかどうかは不屈不撓の一心、つまり、どんなことがあろうとも決して挫けない心にある。ならば、それを常に自分に言い聞かせ、心に気高い理想と高邁なビジョンを強烈に描き続けなければならないという意味です。

このスローガンを掲げた翌年度、京セラグループの売上は前年度の1,734億円から2,511億円に、さらに翌年の1984年度には3,257億円と急速に増加し、「1兆円企業」を目指すことを標榜するようになります。まさにその原動力ともいうべきものが、「思い」の力を説いた『研心抄』の言葉でした。

時を隔てて2010年2月、稲盛が日本航空会長として、再生計画を遂行する決意を述べるにあたっても、全社員に紹介したのは上記の言葉でした。そして、このスローガンを共有した日本航空の全社員の強い「思い」によって、「新しき計画」は見事に成就することになります。