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経営12カ条シリーズ 第2条「具体的な目標を立てる」

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本日は、経営12カ条の第2条、「具体的な目標を立てる ―立てた目標は常に社員と共有する―」に関して、稲盛が2012年12月、盛和塾西日本忘年塾長例会で盛和塾生向けに行った講話からの引用です。

<稲盛の言葉>

・経営者はその組織が何を目指すのかというビジョン、目標を高く掲げ、それを集団に指し示していかなければならない。組織をどういう方向に導いていくのかという方針を示し、進んでいく先にはどのような未来があるのかという展望を描き、さらにはその実現に至る具体的方策まで指し示し、人々を導いていくことが経営者には求められる。

・経営環境が著しく変化し、先行きが見通しにくい混迷の時代にあっては、経営者が指し示す目標が不可欠だ。明確な目標のもと、組織に集う人たちを糾合して、混迷を極める中に血路を開き、集団を真っ直ぐに目標へと導いていくことこそ、経営者に求められる最大の役割である。

・目標へと導いていく過程では、予期せぬさまざまな障害がある。しかし、どのような課題が立ちふさがろうとも、ビジョン、目標の実現に向けて経営者自身が強い意志をもって臨み、組織を一つに束ね、その思いと力を結集していく以外に目標を達成していく方法はない。

・多くの人は急激な景気の悪化など、困難な状況に直面すれば右往左往し、当初掲げたビジョン、目標を見失ってしまいがちになる。しかし、それでは社員がついてきてくれるはずがない。いかに混迷の中にあろうとも、目指すべきただ一点を見つめて組織していく。そういう強い精神をもった人こそが真の経営者である。

・会社全体の漠とした数字ではなく、目標は組織ごとにブレークダウンし、分解されたものにする。現場の最小単位組織に至るまで明確な目標数字があり、さらには一人ひとりの社員までもが明確な指針のもと、具体的な目標をもたなければならない。また一年間を通した通期の目標だけではなく、月次の目標としても明確に設定することが必要である。月々の目標が明確になれば、自ずから日々の目標も見えてくる。

・それぞれの従業員が着実に役割を果たし、それぞれの組織としても目標を達成していくことで、全社の目標も達成される。また、日々の目標を達成してこそ、その積み重ねである月間や年間の経営目標の達成ももたらされる。

・長期計画を立てる必要はない。長期にわたる経営計画を立てれば、その過程では必ず予測を超えた市場の変動や不測の事態が発生し、計画自体が意味をなさないものになって、いずれ下方修正が必要になってしまったり、ついには計画を放棄せざるをえないような事態が往々にして起こる。反故になるような計画であれば、むしろ立てないほうがよい。

・長期計画ではえてして、目標となる売上が達成できないにもかかわらず、経費目標や人員目標だけは計画どおりに消化される。そのために経費の増大を招き、経営を圧迫することにもなりかねない。

・私はずっと、一年間だけの経営計画を立ててきた。三年先、五年先のことは、誰にも正確に予想することはできない。しかし一年先のことならば、そう狂わずに読み切ることができる。その一年間の経営計画を、何がなんでも達成できるように努めてきた。

・「今日一日を一生懸命に働くことによって明日が見えてくる。今月を一生懸命働くことによって来月が見えてくる。今年一年を一生懸命に働くことによって来年が見えてくる」。そういうふうに考えて、日々を、また月々を、そして年間の目標を着実に達成するべく懸命に努力を重ねるのだ。
(2012年12月 盛和塾西日本忘年塾長例会)

書籍『稲盛和夫経営講演選集 第6巻 企業経営の要諦』より