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『経営――稲盛和夫、原点を語る』⑨

241202

『経営――稲盛和夫、原点を語る』(ダイヤモンド社)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。

人間はどんな考え方をしようと、その結果を自分自身で負う限り、それは自由です。しかし、企業経営者をはじめ、集団のリーダーだけはそうではありません。リーダーの考え方が及ぼす結果は、自分一人だけではなく、従業員にも、また社会にも累を及ぼすからです。ですから、集団を率いるリーダーは、どんな考え方をしても自由だということは決してありえないのです。集団を幸せにし、また社会を豊かなものにするために、高邁な考え方をもつことが、リーダーの義務であるはずです。ましてや、一国を導いていく宰相は、とりわけすばらしい「考え方」をもち、高潔な「人格」を備えている人でなければ、亡国の事態にもなりかねません。

企業においても、社長だけでなく、たとえ部長であっても、課長であっても、組織の長たる者の考え方が自由でいいというわけでは決してありません。集団を幸せにするために、すばらしい「考え方」をもたなければならないのです。このことを、リーダーは、またリーダーを目指す人は、深く理解する必要があります。(中略)どんなに環境が変わろうと、鍛え抜かれた不動の「人格」を確立していなければ、真のリーダーたりえないのです。

(『経営――稲盛和夫、原点を語る』「次代のリーダーに望む」九州大学ビジネス・スクール第一期生修了記念シンポジウム講演、2005315p.442-443