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寄稿㉘「日本が動く」(『Voice』1999年4月号)

250818

21世紀に向けて世界に誇れる新しい日本を築いていくためには、官僚主導社会を脱却し、真の民主国家として生まれ変わる必要がある――かねてからそのように提唱していた稲盛は、1999年1月18日に日比谷公会堂で開催された3,000名規模の「"国難突破"国民大会」において議長を務め、歴代総理大臣や経済人、文化人の賛同を得て、「国民の力で、日本の政治を官主導から、政治主導へ変えていこう」「国民の国民による国民のための国づくりを推し進めよう」「税金の安い小さな政府と自由と公正な社会を築こう」といった12項目の「日比谷宣言」を採択しました。このように国民が国を動かすことの意義について、同年の『Voice』4月号に寄稿し、次のように語りました。

「民主主義の社会では、国を動かせるのは、私たち国民だけなのである。私たちが、ほんとうに国民の国民による国民のための政治を望むのであれば、私たちは率先して行動を起こさなければならない。(中略)私たち国民が政治に関わらず、政治家や官僚をただ非難することは無責任でしかない。われわれは声を上げ、われわれが望む政策を推進してくれる政治家を積極的に応援すべきなのである。主権者であるわれわれ国民が主体となり、われわれの代表である政治家に、われわれ国民のための政治をしてもらうべきなのである。

結局、日本をよくしていけるかどうか、それはひとえに、われわれ国民が政治に目覚め、自分たちの手で国を改革していこうという思いをもつかどうかにかかっている。われわれが立ち上がらなくては、けっして日本はよくならないのである。

けれども、民意によって、政治主導によって改革を進めていけば、すべてうまくいくわけでもない。失敗し、混乱することもあるだろう。しかし、それを恐れてはならない。官僚はそれを心配するあまり、何も変えず、現状維持に腐心してきた。その結果、経済は現在停滞しているのである。だから私たちはもし失敗してもひるむことなく、そのなかから学び、試行錯誤を重ねながら、よりよい国をつくるためにチャレンジしつづけなくてはならない」