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『稲盛和夫の実学』文庫新装版①
日経BP社から刊行されている、稲盛和夫経営関連の代表的著書3冊が、装丁をリニューアルします。
『稲盛和夫の実学』および『アメーバ経営』は、それぞれ2000年、2006年に日経ビジネス人文庫より文庫化されていますが、このたび、2022年に稲盛最後の著書として刊行された『経営12カ条』が文庫化されることとなりました。これを機に、3冊の装丁を日経ビジネス人文庫創刊25周年記念の新装版として揃え、新たに出版します。
文庫新装版の特典として、『稲盛和夫の実学』には楠木健氏(一橋大学特任教授)、『アメーバ経営』は伊丹敬之氏(一橋大学名誉教授)、『経営12カ条』には岩尾俊兵氏(慶應義塾大学准教授)による解説が掲載されています。
文庫新装版の刊行を記念し、今月より稲盛による本格的な経営書の嚆矢(こうし)となる『稲盛和夫の実学』から、稲盛和夫の言葉を紹介します。
「経営者は、自社の経営の実態を正確に把握したうえで、的確な経営判断を下さなくてはならない。そのためには、会計原則、会計処理にも精通していることが前提となる。
ところが日本では、それほど重要な会計というものが、経営者や経営幹部の方々から軽視されている。会計と言えば、事業をしていく過程で発生したお金やモノにまつわる伝票処理を行い、集計をする、後追いの仕事でしかないと考えているのである。
また、中小、零細企業の経営者の中には、税理士や会計士に毎日の伝票を渡せば、必要な財務諸表はつくってもらえるのだから会計は知らなくてもいい、と思っている者もいる。経営者にとって必要なのは、結果として「いくら利益がでたか」「いくら税金を払わなければならないのか」ということであり、会計の処理方法は専門家がわかっていればいいと思っているのである。さらに、会計の数字は自分の都合のいいように操作できる、と考えている経営者さえいる。
私は27歳の時に京セラを創業し、ゼロから経営を学んでいく過程で、会計は「現代経営の中枢」をなすものであると考えるようになった。企業を長期的に発展させるためには、企業活動の実態が正確に把握されなければならないことに気づいたのである。
真剣に経営に取り組もうとするなら、経営に関する数字は、すべていかなる操作も加えられない経営の実態をあらわす唯一の真実を示すものでなければならない。損益計算書や貸借対照表のすべての科目とその細目の数字も、誰から見ても、ひとつの間違いもない完璧なもの、会社の実態を100パーセント正しくあらわすものでなければならない。なぜなら、これらの数字は、飛行機の操縦席(コックピット)にあるメーターの数値に匹敵するものであり、経営者をして目標にまで正しく到達させるためのインジケーターの役割を果たさなくてはならないからである。」(『稲盛和夫の実学』文庫新装版、p.4-5)