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卒業論文発表会が導いた出会いと未来

3年前、鹿児島大学からとても貴重な資料をいただきました。それは、稲盛が鹿児島大学で行われた「卒業論文発表会」の発表順を記した手書き資料です。そこには、稲盛が発表順「1番」、トップバッターとして壇上に立ったことが記されていました。
稲盛はもともと有機化学を専攻していましたが、当時の就職難により、教授の紹介で無機化学の碍子メーカーに就職が決まりました。そこで急遽、無機化学分野で卒業論文を書くことになります。その時テーマに掲げたのが「入来粘土の基礎的研究」でした。
わずか半年という短い期間で、未知の分野を必死に学び、研究と執筆に取り組んだ稲盛。苦労の末にまとめた論文が、卒業論文発表会で1番手を飾ることとなりました。当時の心境を想像すると、緊張と挑戦への覚悟に満ちていたのではないかと思います。
発表内容は、鹿児島大学に新しく着任した東京帝国大学(現東京大学)応用化学出身の技術者である内野正夫先生の目に留まりました。内野先生は発表会終了後、「東大生の論文にも劣らない」と高く評価し、「あなたはきっと素晴らしいエンジニアになりますよ」と稲盛に声をかけました。
その出会いは、稲盛の人生に計り知れないほどの影響を与えました。そして、先生の言葉は将来を予言したかのように、その後稲盛は技術者として花開くことになるのです。
進路や環境が思ったものではなかったり、新しい世界に挑むことになったとしても、前向きに努力すれば道は開ける――稲盛の卒業論文と、その発表によって生まれた恩師との出会いから、そのことを感じます。
3月は卒業シーズンです。みなさんの新しい旅立ちが素晴らしいものになりますように。
写真:卒論発表会の順番を記した資料