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「人は何のために生きるのか」愛媛市民フォーラム(2014年8月6日) 「人は何のために生きるのか」愛媛市民フォーラム(2014年8月6日)

日本航空再建の真の要因

もう一つ例があります。私が携わった日本航空の再建においては、「他に善かれかし」と願う純粋で一途な思いが強大なパワーを発揮して、破綻した企業を救ったばかりか、高収益企業へと変貌させました。日本航空の再建も、善きことを思い、善きことに努めてきた結果であるように思えてなりません。

私は会長に就任してすぐに、「新生日本航空の経営の目的は、全社員の物心両面の幸福を追求することにある」と全社員に宣言し、これを繰り返し訴えていきました。「日本航空という企業は、今後は株主のためではなく、ましてや経営者自身の私利私欲のためではなく、そこに集う全社員が幸福になるために存在するのだ」という私の確固たる信念を社員に伝え、この私の信念、経営哲学を新生日本航空の経営理念に謳ったのです。その上で、私は自分の人生哲学、経営哲学である「京セラフィロソフィ」という考え方を、日本航空の幹部や社員たちにも説いていきました。

また、日本航空に定着していた官僚主義を打破するために、責任体制を明確にするような組織改革に努めました。そして、採算意識の向上をはかるために、管理会計の仕組みも構築しました。

そうした様々な改革が、再建に大きく寄与したことは確かです。しかし、日本航空が劇的な再建を果たした真の要因は、「善きこと」をなそうという純粋な私の心にあったからではないだろうかと思います。日本経済の再興のため、残った日本航空の社員たちの雇用を守るために、さらには日本国民のために、老骨にむち打って、無報酬で日本航空の再建に取り組み、社員たちも、同じ思いになってくれ、再建に向けて懸命に取り組んでくれました。そのような「利他の心」だけで懸命な努力を続けている私を見て、神様、あるいは天が哀れに思い、手を差し伸べてくれたのではないだろうか。

因果の法則ではありませんが、宇宙の愛が我々を助けてくれたのではないかと思えてなりません。そうした「神のご加護」なくしては、あのような奇跡的な回復などできるはずはないと思います。

「人は何のために生きるのか」愛媛市民フォーラム(2014年8月6日)要旨

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