GHGとは?
意味や種類、企業としての向き合い方を紹介!【法人】
気候変動への対応が世界的な課題となる中、企業にもGHG(温室効果ガス)に対する配慮が求められています。
しかしGHGとは何を指すのか、企業としてどのように向き合えばいいのか分からず、困っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、GHGの基本的な意味や種類を整理したうえで、企業向けの具体的な対応策についてご紹介します。
【関連記事リンク】
温室効果ガスとは?種類・環境への影響、削減方法を解説!【住宅・法人】
省エネにどう取り組む?家庭や企業ができることを紹介!【住宅・法人】
【法人向け】企業ができる環境対策のための取り組み例とメリット・注意点
日本の発電割合は?2024年度の電源構成と再エネ比率・太陽光発電の現状を解説!
脱炭素とカーボンニュートラルの違いとは?事業者が取り組むメリットも紹介!【法人】
GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは?意味やメリットを分かりやすく解説!【法人】
【目次】
GHG(温室効果ガス)とは
まずはGHGの定義や、GHGが問題視される理由、GHGの削減目標など、基本的な情報について見ていきましょう。
GHGの定義
GHGとは、温室効果ガス(Greenhouse Gas)、すなわち熱(赤外線)を吸収する性質を持つガスのことです。
GHGにはさまざまな種類がありますが、水蒸気や二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、一酸化二窒素(N₂O)などが代表例です。
参考:気象庁|用語解説
資源エネルギー庁|温室効果ガスQ&A
なぜGHGが増えると地球温暖化につながるのか
熱(赤外線)を吸収する性質を持つGHGには、宇宙空間へ逃げる熱を地表面に戻し、生物が過ごしやすい環境を維持する効果があります。
一方、GHGの量が増えすぎると、地表面に戻される熱も増え、気温が大きく上昇してしまいます。これが地球温暖化です。GHGによって地球表面の気温が不自然に上昇すると、異常気象の頻発や激甚化、海面上昇、生物種の減少・絶滅など、さまざまな悪影響がもたらされます。
パリ協定と日本のGHG削減目標
GHGの増加による悪影響を最小限に抑え、地球環境を保護するために採択されたのが、気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」です。パリ協定では、次の2つの目標が掲げられています。
- 平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つ(2℃目標)
- 21世紀後半に温室効果ガスの「人為的な発生源による排出量」と「吸収源による除去量」との間の均衡を達成する(カーボンニュートラル)
参考:全国地球温暖化防止活動推進センター|パリ協定
そしてパリ協定に基づき、日本は「2050年カーボンニュートラル」の目標を掲げています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を、森林による吸収などで相殺し、排出量を実質ゼロにすることです。
そして日本は2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、GHG排出量を2013年度比で、2035年度に60%削減、2040年度に73%削減することを目指しています。
参考:資源エネルギー庁|令和6年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2025)
企業のGHG削減目標である「SBT」
国だけではなく、各企業もGHG削減目標を掲げています。
そして各企業の削減目標のうち、先述した「パリ協定」が求める水準と整合した、5~15年先を目標年とするGHG削減目標のことを、SBT(Science Based Targets)といいます。
なおSBTでは、事業者自らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量(サプライチェーン全体の排出量)が削減対象となります。
参考:環境省|SBT(Science Based Targets)について(3.41MB )
代替フロン類・ハロカーボン(HFC、PFC、SF₆、NF₃など)
他にも温室効果のある気体として、代替フロン類・ハロカーボン(HFC、PFC、SF₆、NF₃など)が挙げられます。
また、一部の旧フロン類は(CFC、HCFC)温室効果が高いだけではなく、オゾン層を破壊する効果もあるため、地球環境を守るためには排出量を適切にコントロールしなければなりません。
企業がGHGに注目する理由

- 法規制に対応するため
- CSRを果たすため
- 投資家・取引先からの評価を得るため
法規制に対応するため
環境保護や2050年カーボンニュートラル達成を目的に、日本ではGHG排出削減を目指すさまざまな法律が整備されています。
たとえば「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」では、温室効果ガスを相当程度多く排出する者(特定排出者)に対して、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することを義務付けています。
また、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」では、一定規模以上の事業者に対し、エネルギーの使用状況等についての定期的な報告や、省エネ取組の見直し・計画策定を義務付けています。
改正省エネ法とは?変更点・企業が対応すべきことを解説!【法人】
いずれもGHG削減目標の設定・達成までは義務付けられていませんが、企業の取り組み状況が可視化されるため、実質的に削減への取り組みが促される仕組みとなっているのです。
CSRを果たすため
CSRを果たす観点からも、各企業はGHGの削減に取り組んでいます。
CSRとは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)のことで、これは「企業活動が社会に少なからず影響を及ぼす以上、その影響に対して責任を負うべき」という考えです。
企業活動によってGHGが排出され、それが地球温暖化の一因である以上、各企業はその排出を抑制し、環境負荷を低減していく責任があるといえるでしょう。
投資家・取引先からの評価を得るため
GHGの排出削減は、投資家・取引先からの評価を得るためにも不可欠です。
たとえば近年、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の観点から企業を評価する「ESG投資」が拡大しています。ESG投資家は財務情報だけでなく、環境への取り組み姿勢も加味して投資先を決めるため、企業価値を高めるためにはGHG削減に取り組む必要もあるのです。
ESG投資とは?企業がESG投資を意識した経営をするメリットをご紹介!
また、SBTではサプライチェーン全体のGHG排出量が削減対象となるため、大手企業を中心に、取引先にもGHG削減を目指す動きが広がっています。
GHGの種類
GHGにはさまざまな種類がありますが、国連気候変動枠組条約及びパリ協定における規定では、下記7種類のガスが排出量算定の対象とされています。
| GHGの種類 | 地球温暖化係数(GWP) |
| 二酸化炭素(CO₂) | 1.0 |
| メタン(CH₄) | 28 |
| 一酸化二窒素(N₂O) | 265 |
| ハイドロフルオロカーボン類(HFCs) | 4~12,400 |
| パーフルオロカーボン類(PFCs) | 7,190~11,100 |
| 六ふっ化硫黄(SF₆) | 23,500 |
| 三ふっ化窒素(NF₃) | 16,100 |
参考:環境省|温室効果ガス排出量及び吸収量等の算定と報告
- ●地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential):地球温暖化に影響する程度を、CO₂を1として表すもの(CO₂のGWP=1.0)
- ●表中のGWPはAR5(IPCC第5次評価報告書)の数値(参考:経済産業省|主な温室効果ガスの温暖化係数一覧(106 KB ))
GHGの種類ごとに、特徴や主な排出元を見ていきましょう。
二酸化炭素
二酸化炭素(CO₂)は、化石燃料の燃焼・セメント生産など、さまざまな経済活動により発生します。
温暖化に及ぼす影響がもっとも大きいとされており、GHG削減目標を掲げる場合、CO₂にフォーカスするケースが多いです。
メタン
メタン(CH₄)は天然ガスの主成分で、二酸化炭素に次いで地球温暖化に与える影響が大きいといわれています。
畜産・稲作・化石燃料採掘・バイオマス燃焼など人為起源のメタンも多く発生しており、削減が急務です。
一酸化二窒素
一酸化二窒素(N₂O)はGWPが265と、非常に温室効果が高いことが特徴です。大気中での寿命が長く、蓄積すると地球環境に大きな影響を与えるといわれています。
農業(窒素肥料の使用など)や化学製品製造、下水・排水処理などさまざまな活動で排出されており、管理が難しい点も課題といえるでしょう。
ハイドロフルオロカーボン類
ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)は、フロンの代替物質として開発されました。オゾン層を破壊しない点が注目されていましたが、強力な温室効果(GWP:4〜12,400)を持つことが問題視され、削減対象となっています。
パーフルオロカーボン類
パーフルオロカーボン類(PFCs)も、オゾン層を破壊しないことに注目されていましたが、こちらも強力な温室効果(GWP:7,190〜11,100)を持つことが判明しています。
半導体製造や精密機器の洗浄などに利用されていますが、排出削減が急務です。
六ふっ化硫黄
六ふっ化硫黄(SF₆)は、高い電気絶縁性を持つ物質で、電気機器の絶縁・消弧ガスとして使用されています。
しかしGWPが23,500と極めて高く、大気中寿命も長いため、排出削減が進められています。
三ふっ化窒素
三ふっ化窒素(NF₃)は半導体製造装置の洗浄・エッチングに不可欠な物質ですが、GWPが16,100と非常に高く、IPCC第5次評価報告書からGHGとして追加されました。
半導体産業との調整が必要ですが、やはり早急な排出削減が求められています。
GHG排出量の算定方法

- 温対法に基づく算定
- GHGプロトコルに基づく算定
温対法に基づく算定
温対法に基づくGHGの算定手順は、次のとおりです。
- GHGの種類ごとに定められた排出活動のうち、事業者が行っている活動を抽出
- 抽出した活動ごとに、排出量を算定(GHG排出量 = 活動量 × 排出係数)
- 排出量の合計値を算定
- 排出量のCO₂換算値を算定(各GHG排出量×GWP)
参考:環境省|温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度|制度概要
GHGプロトコルに基づく算定
国際的に認められた算定報告基準である「GHGプロトコル」を活用して、GHG排出量を求めることもあります。
GHGプロトコルでは、サプライチェーン全体の排出量を、下記の3つに分類して算定することが特徴です。
- Scope1:事業者が直接排出する温室効果ガス(燃料の燃焼や、製品の製造などに伴う排出)
- Scope2:事業者が間接排出する温室効果ガス(他社から供給される電気・熱などの生成に伴う排出)
- Scope3:その他の間接排出(原材料仕入れや販売後の排出)
記事前半で紹介したSBT(パリ協定に適合する企業のGHG削減目標)においても、Scope1~3のすべてを合計したサプライチェーン全体の排出量を削減対象としています。
参考:資源エネルギー庁|知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは
企業としてGHGの排出量を減らす方法

- エネルギー使用の効率化
- 業務プロセスの見直し
- サプライチェーンの改善
- 再生可能エネルギーの導入
エネルギー使用の効率化
まず、設備や照明を省エネ型のものに切り替え、エネルギー消費量を抑えることができれば、GHGの排出量も減らせます。
とくにLED照明への切り替えは、比較的簡単にできる取り組みのため、ぜひ試してみてください。生産設備を高効率な最新型へ更新することも、GHG排出量の削減につながります。
業務プロセスの見直し
各種業務プロセスを見直すことも、GHG排出量削減のために不可欠です。
たとえばリモートワークやオンライン会議の活用により、通勤・出張を減らすことができれば、移動に伴うGHG排出量を減らせるでしょう。ペーパーレス化も、紙の製造・輸送・廃棄に伴う環境負荷の低減につながる手法として注目されています。
さらに、生産ラインや業務フローを最適化し、企業全体で無駄なエネルギー消費を削減することも、GHG削減に貢献します。
サプライチェーンの改善
自社だけでなく、サプライチェーン全体でGHG排出量削減に取り組むことも大切です。
たとえば環境負荷の低い原材料へ切り替えたり、物流を効率化したりすれば、GHGプロトコルにおけるScope3の排出量削減につながります。
再生可能エネルギーの導入
電力使用に伴うGHG排出量を削減するために、再生可能エネルギー(再エネ)を導入する企業も増えています。
再エネはエネルギー消費に伴うGHGが排出されないため、これまで通りに事業活動を続けつつ、GHG排出量を大幅に減らすことも可能です。
そして、再エネの中でもとくに企業活動と相性がいいのが「太陽光発電」です。自社の屋根や駐車場などに太陽光パネルを設置して自家消費すれば、GHGの排出量を減らせるだけではなく、電気代削減効果も期待できます。さらに、災害時の非常用電源としても活用できるため、BCP対策としても有効です。
再生可能エネルギー(再エネ)とは?種類や特徴、メリット・デメリットを解説!
GHGの削減には太陽光発電の活用がおすすめ!

CSRを果たすためにも、投資家・取引先からの評価を高めるためにも、GHGの排出量を長期的に削減していくことは非常に重要です。
そして、GHG排出量を大きく削減するためには、業務プロセスやサプライチェーンの見直しと併せて、ぜひ太陽光発電をご活用ください。
太陽光発電を導入するとなると、多額の初期費用が発生すると思っている方もいるかもしれません。しかしPPAサービス(Power Purchase Agreement|電力購入契約)を利用すれば、初期費用ゼロ円で太陽光発電を導入することも可能です。
京セラの産業向けのPPAサービス 「京セラPPA」 は、GHGの排出削減を目指す企業にも導入いただいております。GHGの排出削減に取り組みたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。









