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牛丼と稲盛和夫

180907

食欲の秋です。今日は牛丼にまつわる稲盛のエピソードを紹介します。

私はよく吉野家に行って牛丼の並を食べるわけです。自分一人で行くのはさすがに恥ずかしいので、「おまえも一緒に来い」と私の運転手さんを道連れにします。
大盛だとご飯が多過ぎて食べ切れませんから、牛丼の並を二人前取り、牛肉だけの並の皿をもう一つ注文する。牛丼の上の部分から食べていくと、具がなくなってきますから、もう一つ取った牛肉だけの皿を運転手さんと半分ずつ分け、それをご飯の上に載せてまた食べる。たったそれだけで、とてもリッチな気分になるのです。

毎晩5千円から1万円程度の食事を10年続けたって、私にとっては何でもないはずなのに、それは死んでもできないというくらい怖いことなのです。お金がないから怖いのではなくて、毎晩そんな高価な食事を平気でとれる神経が信じられないからです。

ちょっと成功すると、いつもホテルで豪勢な食事を取られる方がいますが、そういう人を見聞きするたびに私は疑問に感じてしまいます。その人も会社をつくった当初は、おそらく倹約を旨として経営に当たっておられたのだと思いますが、成功し、それだけのぜいたくをしても大丈夫だという経済的な裏づけができてくると、ぜいたくが身についていく。人間というものは、そうやってだんだん考え方が変わっていってしまうのです。
(『京セラフィロソフィ』より)

※かつて、雑誌の取材で牛丼ファンを公言した稲盛に、後日吉野家から名入りの丼が贈呈されるという出来事もありました。