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『稲盛和夫 魂の言葉108』より

『稲盛和夫 魂の言葉108』(宝島社/稲盛和夫=述、稲盛ライブラリー=構成)から、稲盛の言葉とその言葉に関連するエピソード・情報をご紹介いたします。
<稲盛の言葉>
「人間の能力は無限だ」(P24に掲載)
<宝島社の解説文>
1966年、京セラはローゼンタール社やデグサ社といったドイツを代表するセラミックメーカーと競合するなか、IBM社向けのIC用アルミナサブストレート(集積回路用基板)2,500万個の受注を決めました。全社員を挙げて大喜びしたのもつかの間、IBMの仕様は信じがたいほどに厳しく、何度試作を繰り返してもはねられてしまったのです。仕様書は図面1枚だけというのが通常だった時代に、IBMの仕様書は本1冊分ほどもあり、中身もたいへん細かいものでした。それは当時の京セラの技術力では、果たして対応できるかどうかというレベルのものだったのです。稲盛氏自身、自分たちの技術では不可能だろうという思いが幾度も頭をよぎったそうです。
ですが、当時まだ名もない中小企業であった京セラにとっては、千載一遇のチャンス。この苦難は、自社の技術を高めて、その名を知らしめる好機であると思い直すと、稲盛氏は全身全霊を傾けて努力し、持てる技術はすべて注ぎ込むようにと社員を叱咤しました。受注の翌月に社長に就任した稲盛氏は、滋賀工場の寮に泊まり込み、夜を徹しての作業を連日繰り返しました。しかし、それでもなかなかうまくいきません。なんとか規格どおりの製品を作っても、不良品と判定されて、つき返されることもたびたびでした。
そして、さらに筆舌尽くしがたい努力を重ね、ついにIBMの高い要求基準を満たすような製品の開発に成功し、納期に間に合うよう膨大な量の製品を出荷することができたのです。 無理だと思えるような高い目標であっても、「人間の能力は無限だ」と強く念じ、これでもかという情熱と、ひたむきな努力を惜しまないこと。これこそが、人間の能力を開化させてくれるのです
(『稲盛和夫 魂の言葉108』より)
※本書は、稲盛和夫の言葉を、稲盛ライブラリー協力のもと宝島社が解説を加えたものです。