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稲盛ライブラリーこの逸品「U字ケルシマ」

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「稲盛ライブラリーこの逸品」、今回ご紹介するのは、京セラの製品第1号である「U字ケルシマ」です。

実はこの製品、稲盛が京セラを創業する前に勤めていた松風工業株式会社で国内初の開発、量産を実現して誕生したものでした。京セラ創業当時、U字ケルシマは唯一の製品としてその経営を支えてきました。このたった一つの部品が京セラの成長発展を遂げてきた原点であることを、稲盛は次のように振り返っています。

「常に新しいものに挑戦し、創造的に仕事を進めていくということは大変難しいことです。『創造』とは、心地よい響きを持った言葉ですが、そこに至る道のりに決して近道はありません。今でこそ京セラは、部品から完成品まで一貫した、幅広い製品ラインアップを揃えていますが、創業当初はU字ケルシマというテレビの絶縁部品を生産するだけの単品メーカーでした。

しかし京セラは、そのU字ケルシマのよりよい製造方法を徹底的に追究していきました。大した技術も設備もありませんでしたが、私たちは誰にも負けない努力を払い、日々改良改善を続けて、いかにすればより安くより品質のいいU字ケルシマがつくれるのかを究めていったのです。そして、その中で培った技術を糧に、さらに創意工夫を重ね、次の新しい製品に挑戦していくということを繰り返す中で、製品の数を増やし、また技術を蓄積してきました。このような努力を何十年と続けることにより、結果として京セラは世界一のファインセラミックメーカーに成長するにとどまらず、素材から部品、完成品、さらにグループまで含めるなら通信ネットワークまでも有する、『創造的メーカー』に発展することができたのです」
(京セラ社内報『敬天愛人』2001年1月 巻頭言より)

創業以来の京セラ製品群には、このU字ケルシマという小さな部品から始まった連綿と続く京セラの「創造」の歴史が息づいているのです。

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※写真:U字ケルシマは、ブラウン管テレビの電子銃部分の絶縁体部品として使用された。稲盛ライブラリー2Fの技術と経営フロアに展示。