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稲盛に関するエピソード「元旦の年賀交歓会」

年明け早々、稲盛が驚きの発言をして社内を大きく盛り上げる。そんな出来事がありました。
昭和47年の元旦、本社(西の京原町)での年賀交歓会の時である。社員が次々と集まってきた。特に女子の方々の振りそでの晴れ姿は、日頃会社で見る制服姿と違い素晴らしく美しく、ほんとうにうれしそうで、お互いに「あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく」と挨拶をかわし合った。
大体皆そろった時分に稲盛から「新年おめでとうございます。今年はどうしても(月商)10億達成したい」との挨拶があった。さらに「昨年から引き続く不況は一段と厳しさを加え、経済環境は想像する以上に悪化しそうである。そのさ中ではあるが本年末までには倍増の10億達成をしたい。従来の製品と新しく開発した製品を売り込むことによって必ずこの目標は達成できると信じている。この目標を達成し、来年の正月は皆さんと共にハワイで迎えようではないか」と言われ、集まっている面々は驚き面食らった。
夢のようなハワイ旅行と年末までに倍増の10億達成である。当時、月商5億円である。2月には5億5000万、3月には6億と毎月5000万円ずつ上乗せしなければ年末までに10億にならない。(中略)
ハワイ行きは、稲盛のこの場での咄嗟(とっさ)の思いつきのようであった。従って、この年賀交歓会に来ているものだけしか知らない。オイ、早く皆に知らせよう、と電話のダイヤルをせわしく回していた光景が今でも目に浮かんでくる。滋賀工場、鹿児島工場、東京営業所へ電話で知らせ、(海外の関連会社の)KII、FM/KCへはテレックスで知らせた。今後どのようにして10億達成するかは、1月12日の経営方針発表会で具体的に詳細に説明されることになり、午後1時頃解散した。(注) (青山政次著『心の京セラ20年』)
注:1月12日の経営方針発表会では、「月商10億でハワイ、9億で香港、8億の場合は禅寺で座禅」という目標が発表され、同年11月には9億円を達成し、約1,300名の全社員に香港旅行がプレゼントされた。
写真:昭和56年の年賀交歓会風景