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新入社員への言葉「新しいことへのチャレンジについて」

本日は、昭和55年(1980年)4月に稲盛が新入社員向けに行った講義の一部を要約してご紹介します。新入社員の方をはじめ、新たに社員を迎えられる方々にもお読みいただければと思います。
1.常にチャレンジを。現状に甘んずることは退歩である
昭和34年の創業から今日まで、京セラでは新しいことに挑戦をしてきました。これは当社の体質であり、ベースです。皆さんもその一端を担いたいと思い、入社されたことと思います。
では、なぜチャレンジをしなければならないかというと、現状に甘んずることは、退歩につながるからです。守りに入ったときにはもう衰退の芽を作り始めているのです。京セラが永遠に発展する企業であってこそ、皆さんには魅力があるはずです。ですから私は若い皆さんのためにも、常にチャレンジしなければならないと思っています。
2.真の勇気を持ち、忍耐と努力で初めてチャレンジ可能となる
「チャレンジ」というのは勇ましく快い響きを持った言葉ですが、非常にリスクを伴います。したがって企業には、それに耐えうる財務内容が必要です。その裏付けなくしてチャレンジするのは蛮勇であり、真の勇気ではありません。そして個人には、はかりしれない忍耐、人並み外れた努力、素晴らしい勇気が不可欠です。それを持ち合わせていない人が、単に言葉だけで「チャレンジ」とか「挑戦」ということを口にしてはなりません。それだけの覚悟を持った人に、チャレンジする資格があるのです。
3.新しい人生観を確立して、仕事に取り組む
皆さんの中には、学生時代にアルバイトをした方もあるでしょう。しかし、アルバイトと実社会に出て働くことは全く違います。
ですから、入社に際して、どういう心構えで臨むのか。学生時代の延長として漠然と仕事を始めるのか、それとも学生時代との別れをここではっきりさせて、新しい人生観を確立して仕事に入るのか。それが人生という長丁場で成功するかしないかの大きな分かれ目となるのです。
4.クリエイティブな仕事には自信、専門知識、素晴らしい人間性が必要
京セラは常にクリエイティブな仕事、つまり人の物まねではない創造的、独創的な仕事をしてきました。人が全くやっていないことは魅力的ですが、非常に難しいものです。
それは例えると、真っ暗闇の中を一人、手探りで歩くようなものです。そこには崖があって足を踏み外すとそのまま転落してしまうかもしれません。誰も助けてくれないので、自分で判断をしなくてはなりません。その場合に最も大事なのは、自分自身に対する信用、信頼、自信です。それも過信ではなく、客観的に正しい自信でなくてはなりません。自分自身に完全な自信があり、さらに専門の知識があり人としても立派な素地ができている、そういう人でなければクリエイティブな仕事は絶対にできないのです。
写真: 1980年、社内講話での稲盛