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日本航空再建の原点 意識改革の取り組み(2010年6月)

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稲盛は2010年、政府の要請により経営破綻した日本航空(JAL)会長に就任しましたが、再建の原点となった意識改革の取り組みは、ちょうど10年前の2010年6月に始まりました。
意識改革なくして日本航空の再建はあり得ないと確信した稲盛は、再建に向けた最初の取り組みとして、幹部社員の意識改革に着手しました。これは、日本航空が経営破綻したのは、経営幹部のリーダーとしての自覚の欠如が原因であったと考えたからでした。

「人間として、リーダーとして、どうあるべきか」をテーマに、6月からの約1カ月で17回にもわたって集中的に研修を実施し、稲盛は自身の経営哲学(フィロソフィ)を直接、約50名の幹部に語り掛けたのです。当初は違和感や反発を覚える幹部もいましたが、稲盛が真摯に語り続ける中で、次第にその考えを理解し、意識が変わっていきました。

また、幹部社員だけではなく、運航部門、客室部門、整備部門、空港部門などの現場の社員にも、羽田や成田などの空港に出向き、仕事に対する考え方を直接説いていきました。その結果、幹部から社員に至る、日本航空の社員一人一人にサービス意識の向上や部門を越えて協力する一体感、そして主体的に考え行動する姿勢が芽生えていったのです。
その後、意識改革に加え、アメーバ経営を導入し採算向上を図ったことにより、日本航空の業績、財務体質は急速に改善されていくこととなります。そして、2012年9月19日、上場廃止から2年7カ月という史上最短で株式の再上場を果たすのでした。
「奇跡」と言われた日本航空再建の原点は、この意識改革の取り組みだったのです。

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1枚目:職種や部門を越えた研修で社員に語り掛ける稲盛
2枚目:幹部社員との意見交換
3枚目:運航部門を訪問し自身の思いを話す