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子どもたちに語り掛ける -京都の地蔵盆-

200820

毎年8月中旬から下旬にかけて京都をはじめ関西地方を中心に、「地蔵盆」と呼ばれる行事が盛んに行われます。町内に祀られたお地蔵様を日頃の感謝を込めて供養し、地域の安全や子どもの健全育成を祈願するという趣旨です。催しは町内ごとに異なりますが、一般的にはお坊さんを招いての読経や法話、数珠回し、子どもたちが喜ぶ福引やゲーム、盆踊りなどが行われています。

その地蔵盆で、稲盛は地元町内会から依頼を受けて、近所の子どもたちに「人生を生きていくうえで一番大事なこと」と題して話をする機会がありました。中国の明の時代、自らに定められた運命を、善い行いをすることで好転させていった袁了凡という人物の物語を紹介しながら、次のように善き行いの大切さを説いています。

「人間の心の中には、自分だけよければいいという利己的な心と、自分だけではなく人を助けてあげたいと思う優しい思いやりの心、利他の心というものがあります。つまり、『おいしいものをもっと食べたい』『お金をもうけたい』という利己の心と、近所の人や友達にも善いことをしてあげたいという優しい利他の心とが同居しているのです。
みんなは今日からその悪い利己の心が出てきたら、モグラ叩きみたいに自分でポンポンポンと叩きましょう。お母さんに叱られると、すぐに膨れっ面をしてしまうような悪い心を『また出てきた』と、モグラ叩きみたいに叩くのです。そうすると、善い心が自然に出てくるようになってきます。

学校の勉強でも競争は激しく、優しさだけでは後れを取るかもしれません。しかし、成績が少しくらいよいとか悪いとかは、長い人生の中では大した問題ではありません。人生で成功しているかどうかは、どのくらい善い人間になれるのかということにかかっているのです。たとえ運命が決まっている人生でも、自分でよい方向に変えていくことができるのです。善い心でもって、善いことを実行すれば、必ず自分の人生がよい方向に行くのだと、みんながそう信じていってほしいと思います」
(2008年8月23日 地元町内会の地蔵盆にて)

写真:地蔵盆会場で子どもたちを見守る稲盛 KBS京都テレビ