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稲盛ライブラリーこの逸品「カソードチューブ」

今日の逸品は、ライブラリー2階に展示されている1959年生まれの製品「カソードチューブ」です。
ブラウン管テレビの電子銃の組立に使用された絶縁管で、U字ケルシマに続き創業期の京セラを支えてきた基幹製品です。肉厚が薄く(0.2ミリメートル)、外径公差も厳しい、非常に難度の高い製品で、既存の国内メーカーでは作ることができず、誕生間もない京セラが開発に挑戦することになりました。困難な課題を前にして稲盛は「みんな、集まれ。これはこうやったらできるのではないか」と部下を鼓舞し、「必ずできる」という信念をエネルギーに変えて彼らに注入することで、自らの思いを共有していきました。当時の様子を語った稲盛の言葉を紹介します。
「『今までやってきたこんなことやあんなことを組み合わせた新しい製造方法を考えたら、これは割と簡単にできると思う』というようなことを、諄々と話していったのです。
『そういえばそうですね』『分かりました。確かにそうです』『難しくてできないと思っていましたけど、できそうです』というふうに肯定するようになるまで、部下の気持ちを変えていく、それを私は必死でやりました。部下が『そうだ。これはやり方によっては十分やれる。確かに社長の言うとおりだ』というふうになってくれる、そういう顔つきになるまで、一時間でも二時間でもしゃべりました。
それは、私が持っている、こうすればできるんだ、どうしてもやりたいんだという思いを、エネルギーとして部下に注入しているように思いました。まさに、上司が持っている情熱をエネルギーとして部下に注入するということです。自分の思いを強大なパワーのエネルギーに変えて、それを部下の人に注入する。注入するという意味は、納得して『それはそうだ』『これはやれる』という気持ちにまでさせるということです。
こちらが真剣勝負で必死になって、それを分かってもらうように訴えていくから、エネルギーが注入できるのであって、簡単にただしゃらしゃらしゃべって、それでもって分かったなということではいけない。エネルギーを注入して、部下の顔が紅潮してきて、『絶対やりましょう』『やれそうだ』というようなところまで持っていかなければなりません。すべては部下の人たちも含めて、可能性を信じられなければ、難しいものはなんにもできないのです」(『誰にも負けない努力』PHP研究所)
写真
1枚目:展示されているカソードチューブ(1目盛りが1ミリメートル)
2枚目:2階展示パネル
