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稲盛ライブラリーこの逸品「教訓茶碗」

201102-2

ライブラリー4階フロアには、一見普通の湯飲み茶碗が稲盛ゆかりの品として展示されています。これは「教訓茶碗」という沖縄県石垣島の工芸品で、注ぐ水の量を8分目くらいにすれば、通常の茶碗と同様に水を飲むことができますが、欲張ってそれ以上注ぐと底に空いた穴から全て漏れてしまう仕掛けが施されています。あまりにも欲望を追求し過ぎると、ついには全てを失ってしまう――稲盛は社員や盛和塾生たちに欲望の肥大化を戒めることの大切さを、この茶碗を用いて伝えていきました。その際、稲盛は欲望を抑える考え方を「足るを知る」と表現し、その重要性を次のように述べています。

これまでの経済は欲望と利己をテコに拡大してきましたが、環境汚染や所得格差など、ここにきて多くの弊害が噴出しています。これまでのやり方では解決できない多くの問題が積み上がってきているからです。人類が築いてきた文明はいま、一つの大きな曲がり角に立たされているといえる。

食糧問題ひとつとっても、この地球という星ひとつに、すべての人間が贅沢放題に食べられるだけの食糧を供給しつづけるキャパシティが、はたしてあるかどうかは疑問です。
エネルギー問題もしかりで、欲望とともに使用するエネルギーはふえつづけるばかりで、自滅するのがわかっていても、それを承知でむさぼりつづけるのが人間のもつ一面なのです。
ここにきて、私たちは「足るを知る」という考えをあらためて身につけなければいけない時期にさしかかっているのかもしれません。
(『心。人生を意のままにする力』サンマーク出版)

201102-1