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心。人生を意のままにする力

201124

『心。』(サンマーク出版)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。

<稲盛の言葉>
物事を損得ではなく「善悪」で判断する、よい心を意思決定のものさしにするということは、つね日ごろより厳しく心がけていなければ、なかなか実行できるものではありません。
経営を始めた若いころ、私はよく部下をつかまえては、次のようなことをいったものです。
「何か問題が起こる。その解決策を探る。そのとき、すぐに頭に浮かぶ考えというのはすべてといっていいくらいエゴや欲望や感情に基づくものだ。よほどの聖人君子でないかぎり、善悪による判断を直観的に下すことはできない。だから、最初の思いつきをそのまま結論にするのではなく、『ちょっと待てよ』と、いったんその判断を脇に置き、善悪のものさしにしっかり照らして、あらためて問題を考え直してみる。誤謬(ごびゅう)なき決定のためには、そのようなワンクッションが必要なのだ」

この言葉は部下に語りながら、自分自身にもいい聞かせていたものでした。実際、「こうしよう」ととっさに脳裏に浮かんだ判断の誤りにあとから気づくという経験は、私自身にもいくらでもありました。
そのように的確な判断を下すときに必要なのは、単に頭のよさや知識の豊富さだけではありません。何よりも大切なのは、心の中に判断のものさしとなる「善悪の規範」をもっているかどうかなのです。(P151-153に掲載)