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京セラ創業の恩人 西枝一江さん追悼の言葉

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1973年3月、京セラ創業の恩人が亡くなりました。京セラ設立前に稲盛と出会い「この青年の夢にかけてみよう」と自宅を抵当に入れ、銀行から1,000万円の運転資金を借りてくれた人物が、西枝一江(いちえ)さんでした。当時は、西枝さんと奥さんとの間で「家を抵当にして金を借りるが、無一文になるかもしれない」「男が男に惚れてお金を出すのなら、本望ではありませんか」というやりとりがあったそうです。
以来、慈父のごとき眼差しで温かく、また時には厳しく若き京セラを指導され、その成長を見守ってくれた方でした。稲盛は、恩人との別れに際し、心からの感謝を込めて次のような言葉を贈っています。

「私どもの会社を実質的につくっていただいた恩人であり、京セラ創業の精神の源でもある西枝一江さんの葬儀に際し、故人の遺徳をあらためて偲びたいと思う。西枝さんが私に与えてくれた一粒の思想が、全社員に浸透し、今や世界に広がる思想として波紋を描き、京セラの発展を確固たるものにしてくれた。ここに集まったわれわれが、故人の遺志を受け継ぎ、その思想をさらに発展させ、次の世代へと伝えていきたい」(『稲盛和夫のガキの自叙伝―私の履歴書』日本経済新聞出版)

写真:稲盛(右)と西枝一江さん(右から2番目)