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稲盛和夫、かく語りき

『稲盛和夫、かく語りき』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
<稲盛の言葉>
――稲盛さんの考え方、つまり稲盛イズムに企業全体が同化して、ベクトルが合ってこれまでの強さになってきたわけですが、それが同時に脆さにもつながるとは思いませんか。
稲盛 そういうことはあまり考えませんでしたね。人の心の結集しか財産がなかったものですから。確かにどこを切っても、金太郎飴という点はあると思います。でも、だからといって脆いから、バラバラにするというのではゼロになってしまいます。
自分の哲学みたいなものを、脆さのない円筒型に仕上げるべきなのでしょう。脆さがあると言われるならそれも人生なのでしょうね、と言うしかありません。
――ベクトルを一致させていくインセンティブは何なのですか。社員持ち株とその値上がりによる恩恵がそれなのですか。
稲盛 違いますね。子供の頃からお金を求めてやるのは薄汚いと思ってきました。では何が共感を生むのかと申しますと、みんなに共感してもらうにはやはりきれい事でないといかん、建て前がないといかんのです。私がそういうことを社員に説けば説くほど、実は自分に降りかかってくるわけです。つまり、私が自分を厳しく律した生き方をすることが鍵なんです。
私自身、その点は守ってきたつもりです。そりゃ一部には反発する人も、辞めた人もいます。しかし多くの社員から「あいつはインチキ野郎ではない」とは思われているのではないですか。