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書籍『ある少年の夢』(加藤勝美著 出版文化社刊)

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1980年1月30日、稲盛の半生を描いた初の書籍『ある少年の夢』の出版祝賀会が、稲盛の故郷・鹿児島市の城山観光ホテルで開かれました。『ある少年の夢』は前年12月に発売されるや大好評を博し、瞬く間に全国の有名書店でベストセラー入りし、京都や鹿児島などでは1位になった書店も多かったといいます。稲盛のひたむきでまっすぐな生き方が、多くの人の感動を呼んだのでしょう。出版社はもとより、京セラにも読者の方々からの反響が多く寄せられました。

著者の加藤勝美さんが後の改訂版のあとがきで、「この本はあくまでも『人間論』として書いたのであって、一つの企業の成功譚を書いたつもりはない」と述べられていますが、内容はまさにその通りです。本書は京セラという稲盛の作品を通して人間稲盛和夫を描き出した、多くある伝記作品の中でも出色(しゅっしょく)のものではないでしょうか。読んでいて加藤勝美さんと稲盛の魂が共感し合い、共鳴し合う熱い思いを感じさせ、読む者を勇気づけてくれるように思います。

加藤さんは自身が大学生時代に「反権力運動の中にあった」と言われていますが、そうした著者の世の中の弱者に対する思いやりや共感が、稲盛の中にある世の中の不公正や弱い者いじめ、曲がったことを許さないなどという強い正義感やまっすぐな生き方と響き合って、二人の魂の共鳴を呼んでいるのかもしれません。
1月は稲盛の誕生月でもあります。ぜひこの機会にもう一度、本書をお読みいただければ幸いです。

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2枚目:出版祝賀会で挨拶をする稲盛