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稲盛和夫、かく語りき
『稲盛和夫、かく語りき』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
<稲盛の言葉>
――中小企業の経営環境は依然厳しく、多くの経営者が業績浮上の糸口をつかめないでいます。
稲盛
「経済環境が良くない」と思うことが、自分の会社を停滞させている元なんです。景気というのは良かったり悪かったりするのが普通であって、今が特別悪いわけではありません。
それに中小企業で言えば、いつどんなときも、決して良い環境というのはなかった。それでも経営者の皆さんは社員と一生懸命に努力し、それによって会社を安定化させてきたではないですか。 企業経営は、プロペラが付いた自転車のようなものです。常にこいでいないと、途端に引力で地面に落ちてしまう。まず、社長が頑張ってこぐ。でも1人では重たくてこげやしませんから、5人でも10人でも社員がおるなら、その人たちにも社長と同じ気持ちになってもらって、全員でこぐ。
そうやってこぎながら、どうすればもっとうまくこげるかと考えるのです。その知恵は誰かに教わるものではなく、仕事の中でありとあらゆる可能性を探る中で見つかるものです。社長だけじゃなく、社員も一緒になって考える。創意工夫を伴った必死さ、と言いますか。これがあれば、必ず空に向かって上がっていくんです。
(P189-190に掲載、初出は『日経トップリーダー』2012年9月号)