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寄稿紹介④ 「ファインセラミックス」

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セラミック多層パッケージの開発により技術面において新境地を切り開いた稲盛は、窯業協会(現日本セラミックス協会)の専門誌『セラミックス』(1973年6月号)に寄稿し、新たに「ファインセラミックス」の概念を提唱しました。

従来、器具・装置を構成する材料として、ボリューム、量に主眼を置いて利用されてきた一般陶磁器に対して、量ではなく質を重視し、材料の持つ優れた物性や機能を利用して開発されてきた特殊磁器が「ニューセラミックス」と呼ばれていました。

稲盛はこの論文で、従来の「ニューセラミックス」という表現を「ファインセラミックス」に改めることを提唱しています。つまり、単に量ではなく質を重視するのみならず、積極的に市場のニーズを見極め、高品質、高性能、高付加価値といった、あらゆる意味でファインな製品づくりを目指す「ファインセラミックス」の概念で開発を進めることで、人々の生活を豊かにする製品づくりができると述べています。

そして、このように定義を変えることで、無限の可能性が広がることを示唆して、次のように締めくくっています。
「これまで、ニューセラミックスは主として電子工業の発展と軌を一にして発展を遂げてきたが、このような方向のみを追求したのでは限りがあると考える。それ故に、今後はもっと自由な発想ができるファインセラミックスの方向を指向すべきであり、そうすることによってはじめて、わが国の業界が世界の窯業界の中で独自の地位を築くことが出来ると確信する次第である」

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写真
1枚目:掲載誌の寄稿頁と表紙
2枚目:稲盛の直筆原稿