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稲盛ゆかりの地を巡る-「鹿児島県 妙見(みょうけん) 温泉 妙見石原荘」

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稲盛ゆかりの地を巡る。今回は、かつて稲盛がよく訪れたという鹿児島県の宿をご紹介します。

そこは、錦江湾の北、霧島市の山間を流れる天降川渓谷沿いに佇む温泉旅館 妙見石原荘です。盛和塾生と交わした経営問答に、この温泉旅館の事例を紹介する稲盛のコメントがあります。別の旅館経営者からの「財務基盤が不安定な中での老朽設備の大規模改修」に関する質問に稲盛は以下のように答えています。

「昔、鹿児島県の国分市(現霧島市)に京セラの工場をつくったころ、その近くにある妙見温泉の旅館によく泊まりました。川のせせらぎの聞こえるところに建てられた、檜の数寄屋造りのすばらしい旅館でした。
聞いてみると、その旅館を営んでいる親父さんは、建築や設備に興味があって、地元の大工さんと一緒に、古ぼけた旅館を5年間かかってすばらしい数寄屋造りの旅館に直していかれたそうです。川に張り出したところに露天風呂があって、温泉に入りながらお酒が飲める。客室にお香が焚かれていたり、床の間には、藪椿が一輪、さりげなく生けてあったりする。

主人に絵心があったり、お茶やお花の趣味があれば、別にコストをかけなくても、そういうことができるわけです。旅館やホテルのオーナーには、そういう素養が必要だろうと思います。
もし、あなたのようなやり方でいくと、華道の先生にお願いして、毎日お花を生けてくださいとなるでしょうが、そういう感覚からまず直すべきです。今のあなたにはパッチワークで古い旅館を見事に再生してみせるしかないと思います。」『稲盛和夫の経営問答 高収益企業のつくり方』新装版 日本経済新聞出版

中小の旅館やホテルのオーナーは、建物や設備に興味があって、自分でも直そうというぐらいのこまめな人でなければ経営はできないというのが、稲盛の考えでした。妙見石原荘では、現在もパッチワークの精神を大事にして、修繕補修を行っているそうです。訪れた宿でも経営者の目線で「何がすばらしいのか」を見定め、経営に生かそうとする。いかにも稲盛らしいエピソードではないでしょうか。

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写真
1枚目:妙見石原荘 川側和洋室/瑠璃紫(るりむらさき)
2枚目:経営問答で温泉設備のコメントをする稲盛(2000.5.26)