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シリーズ「稲盛和夫の著書」 第8回『人生の王道』

230529

稲盛が敬愛してやまない西郷南洲(隆盛)の遺訓を、自ら一条ずつひもといていった書籍です。あまたある稲盛の著書の中で、最も広く深くリーダーのあり方について論じています。日本に新しい時代を切り開いた西郷が遺した言葉と、確固たる哲学をもって経営や人生に臨んだ稲盛の考え方とが共鳴しあい、読む人に感動とともに、歩むべき道を指し示してくれるはずです。

この本は、『日経ビジネス』誌に、2005年10月から2006年12月まで12回にわたり連載された記事がベースになっています。雑誌連載にあたって、稲盛はスタッフが読み上げる遺訓に耳を傾け、微動だにせず、沈思黙考を重ねました。ようやく考えがまとまると、遺訓の意味をやさしく解きほぐしながら、自らの体験や哲学を交え、現代のビジネスリーダーが持つべき考え方、生き方を説いていきました。自らの魂を絞り出すかのようにして語る稲盛の姿には、鬼気迫るものさえ感じられました。

実は、稲盛は経営の第一線に携わっている頃から、西郷南洲の遺訓にずっと親しんできたのです。執務机には和綴じの『西郷南洲翁遺訓』がいつも置かれ、付箋が縦横無尽に貼られ、折に触れ参照していることがうかがえました。経営の局面にあたり、遺訓をひもとき、判断の基準としてきたのでしょう。また、生きる指針としてきたに違いありません。

そのような稲盛自身の深い実践、思索の中から生まれ、育まれた本書は、組織のリーダーにある方々にとって、かけがえのない「道しるべ」となることでしょう。