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シリーズ 書籍『熱くなれ』紹介②
書籍『熱くなれ』(講談社)が好評です! 稲盛の新しい一面を秘蔵写真、本人発言、そして13人の証言から浮き彫りにしていく本書が、発売開始以来、反響を呼んでいます。稲盛に長年接した人間でさえ心打ち震える本書を、一人でも多くの方に手に取っていただきたいと願い、今回もその内容をお伝えしていきます。
第2回は、本文144~145頁に使われた写真のご紹介です。
これは、1973年1月の経営方針発表会後の決起コンパで、幹部社員に年度目標を示し、鼓舞している稲盛をとらえたものです。
京セラは70年代に入ると、創業以来のファインセラミック部品部門の業績が着実に伸びていくとともに、ICパッケージを扱う半導体部品部門が急速に売上を伸ばし、会社全体が急成長を遂げていました。そのような中、稲盛は「月商18億円、年商200億円」という、当時の倍ほどの目標を社員に提示します。
しかし、稲盛はそんな高い目標を、悲壮感をもって追うのではなく、「みんなで楽しく追求する」ことに努めていきます。それが、「グワム(グアム)に行こう」でした。歯を食いしばり努力することの糧をも示し、社員の心に火をつけていったのです。
実は前年の1972年1月、稲盛は経営方針で「月商10億円達成ならハワイ、9億円なら香港、8億円なら禅寺で座禅」というユーモラスな目標を掲げ、結果この翌1973年1~2月に全社員で香港旅行を実現しているのです。その旅行開催中に、さらに次の目標として新たな全社員による海外旅行を提案しました。
ここに、稲盛の経営姿勢そのものがよく表れています。心と心で結ばれた家族のような関係をもとに、全員が当事者意識を持って経営に参加する会社をつくる、この稲盛の思いが発露した経営施策です。
本書『熱くなれ』の第7章「渦にまきこむ」に、「立てた目標を社長だけのものではなく、全従業員の目標にしていかなければならないわけです。(中略)経営12カ条の1番目にありますように、事業の目的、意義を明確に決めて、それを社員に宣言しなければならないのです」という稲盛の発言があります。
「全従業員の物心両面の幸福」の追求を理念としてきた稲盛の経営哲学の根幹となる考え方、またその根底にある社員へのあふれるような愛を感じ取ることができる、今までにない書籍です。ぜひ店頭で手に取っていただき、稲盛の熱い魂に触れてみていただければ幸いです。

写真
1枚目:書籍書影
2枚目:1973年経営方針発表会決起コンパ