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『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』⑥
『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
一般的には、ほとんどのメーカーが原価主義をとっており、「原価プラス利益」で売価を決めています。しかし、競争の激しい市場では売値が先に決まってしまうため、原価に利益を積み上げた価格では売れません。といって、さらに値段を下げて売ると、利益がふっ飛んで、たちまち赤字に陥ってしまいます。
私は技術者たちに「新しい製品や技術を開発するのが技術屋の仕事だと思っているかもしれないが、それだけではない。どのようにしてコストを下げるかを考えることも優秀な技術屋の仕事だ」と繰り返し言い、コストダウンの取り組みを強く促してきました。
熟慮を重ねて決めた価格で最大の利益を生み出すには、「経営努力」が必要なのです。その際には、材料費がいくら、人件費がいくら、諸経費がいくらかかるといった固定観念や常識は一切捨て去るべきです。仕様や品質など、与えられた要件をすべて満たす範囲内で、最も低いコストで製造する努力を徹底して行うことが不可欠です。
大切なのは、「値決めと仕入れ、あるいはコストダウンが連動していなければならない」ということです。決して値決めだけが独立してあるわけではありません。値決めをするということは、仕入れやコストダウンにも責任を持つことなのです。つまり、値決めをする瞬間に、仕入れやコストダウンについても考えていなければならない。あるいは逆に、そうしたことが頭のなかにあるからこそ、値決めができるわけです。これも、「値決めはトップが行うべき」である理由のひとつです。(『経営12カ条』「第6条 値決めは経営」p.132-133)