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稲盛ゆかりの地を巡る-「アメリカ ニューヨーク証券取引所(NYSE)」
稲盛ゆかりの地を巡る。今回は、「ビッグ・ボード」の通称で呼ばれる世界最大の証券取引所、ニューヨーク証券取引所(NYSE)です。
大阪二部上場、東京一部上場、株価日本一を果たした京セラは、この地でアメリカにおける株式市場へのデビューを果たしました。ADR(米国預託証券)発行の認可が下りた1976年1月29日(日本時間で1月30日)、奇しくもニューヨークで誕生日を迎えた稲盛は、証券会社が設けてくれた祝いの席で次のようなスピーチをしています。
「私は、会社の経営はひとつの芸術作品であると思います。まったくの白紙に、あらゆる創造力を生み出し、それを表現していくものです。そこにはあらゆる面での完全性が必要で、完全性があれば、見る人に非常な感激を与えます。あらゆる努力をしてつくってきたこの芸術作品(京セラ)を、世界経済の中心であるニューヨークに出品し、それがどう評価されるのか、その日を期待と怖さが相交錯する気持ちで待っていました。
幸いにも、即日にして売り切れという、完全であるとしか言えないくらいに評価され、まったくうれしく思っています。私のスタッフと参列者のご協力に感謝いたします。また、今回の公募と誕生日が重なった男は、世界中でもまずいないでしょう。自分ほど幸せな人間は、世界中にいないのではないでしょうか。私をこの世に送りだしてくれた両親に深く感謝するとともに、私の妻にどう説明しようかと迷うくらいです」
(『果てしない未来への挑戦 ―京セラグループ50年の歴史』より)
1976年・1980年の2回のADR発行と、京セラ株のニューヨーク市場への上場は、当時、京セラのアメリカでの躍進を象徴する出来事として『ウォールストリートジャーナル』や『ニューヨークタイムス』でもセンセーショナルに報道されました。
現在では、海外投資家が日本国内での市場取引に参加しやすくなったことや、日本の法令や会計基準の改正が進んだことで開示や内部統制に関する海外との差異が解消してきたことから、京セラのニューヨーク証券取引所における上場は2018年の2月をもって終了しています。それでも稲盛が描いた「あらゆる面での完全性を備えた芸術作品」という企業像は、「ザ・カンパニー(企業の中の企業)」という理想となり、今も京セラが追い求める果てしない目標として、全社員に共有されています。
■ニューヨーク証券取引所(案内)Webサイト(英語):https://www.nyse.com/index
番地:11 Wall Street New York, NY 10005(ニューヨーク マンハッタン島 南端付近 ウォール街の中心的施設)
※現在内部見学は行っていません。

写真
1枚目: ニューヨーク証券取引所の外観(Arnoldius_ New York Stock Exchange on Wall Street in New York, New York, United States_2008.April.1)
2枚目: 1980年5月 ニューヨーク市場上場時 左から2人目が稲盛