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『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』 ⑫

240304


『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。

経営者は、どんな逆境にあろうとも、常に明るく前向きでなければならない。これは私の信念です。営に携わっていると、次から次へとさまざまな課題が現れてきます。しかし、そのような苦しい局面ほど、夢と希望を失ってはならないのです。

ともすれば、降りかかる経営の諸問題に押しつぶされそうになり、そのような状態にじっと耐えている経営者の姿は悲壮感さえ漂うものかもしれません。あるいは「強い意志」や「燃える闘魂」によって悲壮なまでに思い詰め、悩み抜いて経営しなければならないと思われているかもしれません。

そうではありません。正念場で、凄まじいばかりの闘魂や、どんなことがあっても挫けない強い意志力が要るからこそ、日常は明るく振る舞う心がけが大事になってくるのです。そうでなければ、長く経営を続けることなどできないはずです。

「何としてもやらなければならない」という強い思いの一方で、「何があっても自分には必ず、素晴らしい未来が開けるのだ」という確信を抱いて、明るくポジティブに生きてほしいと思います。いまはどんな逆境にあろうとも、自分の人生をポジティブに見ること。これが人生の鉄則であり、経営者として生きる要諦です。

たとえいま健康を損なっていても、必ず元気になると信じて養生する。資金繰りに苦慮していても、努力すれば何とかなると信じてさらに努力する。逆境の渦中にある当人にとってはたいへん難しいことですが、無理矢理にでも自分にそう思わせて努力を重ねなければならないのです。
(『経営12カ条』「第12条 常に明るく前向きに、夢と希望を抱いて素直な心で」p.227-228)

経営12カ条は今回で終了です。次回からは『経営 稲盛和夫、原点を語る』(ダイヤモンド社)をご紹介します。