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社員から贈られた胸像
写真は、京セラ本社1階のエレベーターホールに置かれている稲盛の上半身像です。モデルになってじっとしていることが嫌いだった稲盛が、短時間であれ自らモデルを務めた像はこの1点しかありません。
この像は、京セラが創立25周年を迎えた1984年に、「四半世紀にわたって指導してくれた稲盛に感謝の気持ちを伝えたい」と、多くの社員有志が基金を拠出したことから始まります。しかし、当時の京セラ社員は彫刻家の先生方とのお付き合いも全くなく、どなたにお願いし、どのような作品にしていただいたらよいかなどが決められず、なかなか制作に至りませんでした。
その後、1998年の京セラ新本社建設に際して、ロビーや公開空地に彫刻作品を展示することが計画され、現代具象彫刻の第一人者と言われ、稲盛の母校鹿児島大学で教鞭をとられていた中村晋也先生とご縁ができました。そこで中村先生にお願いをしてこの像を制作いただき、稲盛に贈ったのです。
さすがに稲盛も、「この像は自宅には置けるところがない」と言い、本社内に設置されることになりました。そこには、受け取った後の置き場所のことも深く考えず、ただ「感謝の気持ちを形にして贈りたい」という自分たちの強い思いだけで突っ走ってしまう、ある意味京セラらしい当時の社員の気風が感じられるように思います。
こうして無事本社に設置された銅像は、朝元気に出社し、夕方に仕事を終えて帰っていく社員たちを今日も見守っています。