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稲盛和夫のエピソード「創立25周年の記念旅行」

1984年4月、京セラは創立25周年の節目に25年間会社のためにがんばってくれた社員に報いたいと、3泊4日の東京旅行を全社員にプレゼントしました。4月14日から27日にかけて、当時の京セラの北は北海道北見工場、南は鹿児島県内の3工場の社員約11,100人が1日ずつ出発をずらした10団に分かれて東京に集い、さまざまな記念イベントを楽しみました。
東京でのプログラムは、稲盛らしい社員への思いに溢れたものでした。
それまでの京セラ社員は時に"野武士集団"と評されるような、まさに仕事一途の人間の集まりでした。稲盛は「これから大企業をめざしていくには、社員一人ひとりもそれにふさわしい教養や人間としての幅も広げていってほしい」と考え、日本の伝統芸能である歌舞伎鑑賞や井上道義指揮の新日本フィルによるクラシックの演奏会、東京プリンスホテルの方からコース料理の食事作法を学びながらの夕食会など、さまざまな教育的配慮をした内容でした。
中には「お仕着せで堅苦しい」と反発する社員もいたようですが、多くの者が忙しい仕事漬けの日々の中で、ひと時、普段できない体験をしてリフレッシュしたり、自分の精神世界を拡げられたに違いありません。そのことが、稲盛が願ったように社員それぞれの教養を高め、人間としての幅を拡げることにつながったのかどうか、それはぜひ、その後の社員の行動や姿を見て読者の皆様にご判断いただければと思いますが、私自身はきっとそうであったと信じています。
写真:昭和女子大学人見記念講堂で開かれた演奏会。最後には京セラ社歌も演奏されました。