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稲盛ゆかりの地をめぐる-「永源寺瑞石会館」(滋賀県東近江市)

稲盛ゆかりの地を巡る。今回は「永源寺瑞石会館」です。永源寺は滋賀県東近江市永源寺高野町にある臨済宗永源寺派の大本山で、現在の京セラ東近江工場(設立当時は滋賀工場、のちに蒲生工場)からは東に約16kmという距離にあるお寺です。かつてその門前にあった宿泊施設を「永源寺瑞石会館」といい、京セラの成長期を支えた滋賀工場勃興の時代には、コンパを通じた社員教育の場として利用していました。当時を知る伊藤謙介元京セラ会長をして「京セラコンパの原点はここにある」と言わしめたその研修とは、どのようなものだったのでしょうか。実際に体験した経営幹部は次のように振り返っています。
「蒲生工場に配属されてからも、よくコンパがありました。最も印象に残っているのは、永源寺(瑞石会館)でのコンパです。一晩泊まり込んで、車座になってコンパをしました。ウイスキーと乾きものを用意した中で、いろいろと教えていただくのです。(当時の稲盛)専務は一人一人に対して言葉をかけてくださいました。そのとき、専務は自分の『分身』がほしい、とおっしゃっていました。『私一人でできることには限界がある。会社がこれだけ大きくなると、会社全体の面倒を一人でみることはできない。孫悟空のように、簡単に自分の分身をつくることができたらいいと思う』という、孫悟空のたとえ話をされていたのです。
『普段からかわいがっていただき、また尊敬している専務に、何とかして力になりたい』、そう思った私たちは、『自分たちが専務の分身になります』とお答えしました。そうしてコンパが終わり、消灯して寝ようとした途端、枕投げが始まりました。口火を切ったのは、なんと専務でした。専務は非常にストイックで人格者としての一面がある一方で、童心と言いますか、天真爛漫な一面もお持ちだったのです」
(機関誌[盛和塾]127号 小山倭郎氏インタビュー)
現在では施設の建屋はなくなり、駐車場となっていますが、永源寺は新緑や紅葉(こうよう)のもみじの美しさに定評がある寺院で、禅寺としての拝観や座禅体験なども行われています。滋賀を訪れる際にちょっと足を延ばしてみてはいかがでしょうか。
所在地:滋賀県東近江市永源寺高野町
<参考>:「永源寺」公式サイトhttps://eigenji-t.jp/
写真
1枚目:永源寺山門(提供 Photo AC)
2枚目:案内地図(地理院地図ベクターより稲盛ライブラリーにて加工)
永源寺瑞石会館跡は現在では永源寺裏参道駐車場となっている
3枚目:当時の研修報告を掲載した社内報「敬天愛人」14号(1967年11月刊)
コンパでの討論や、枕投げの様子が伝えられている。

