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『稲盛和夫の実学』文庫新装版②
『稲盛和夫の実学』文庫新装版(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
物事の判断にあたっては、つねにその本質にさかのぼること、そして人間としての基本的なモラル、良心にもとづいて何が正しいのかを基準として判断をすることがもっとも重要である。27歳で初めて会社経営というものに直面して以来、現在に至るまで、私はこのような考え方で経営を行ってきた。(中略)
何事においても、物事の本質にまでさかのぼろうとはせず、ただ常識とされていることにそのまま従えば、自分の責任で考えて判断する必要はなくなる。また、とりあえず人と同じことをする方が何かとさしさわりもないであろう。たいして大きな問題でもないので、ことさら突っ込んで考える必要もないと思うかもしれない。
しかし、このような考え方が経営者に少しでもあれば、私の言う原理原則による経営にはならない。どんな些細なことでも、原理原則にさかのぼって徹底して考える、それは大変な労力と苦しみをともなうかもしれない。しかし、誰から見ても普遍的に正しいことを判断基準にし続けることによって、初めて真の意味で筋の通った経営が可能となる。
経営における重要な分野である会計の領域においてもまったく同じである。会計上の常識とされている考え方や慣行をすぐにあてはめるのではなく、改めて何が本質であるのかを問い、会計の原理原則に立ち戻って判断しなければならない。そのため一般に認められている「適正な会計基準」をむやみに信じるのではなく、経営の立場から「なぜそうするのか」「何がその本質なのか」ということをとくに意識して私は問いかけるようにしてきた。
(『稲盛和夫の実学』文庫新装版、p.24-26)