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『稲盛和夫の実学』文庫新装版③

『稲盛和夫の実学』文庫新装版(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。
京セラを創業して間もなく、経理について何も知らなかったころ、私は「今月の決算はどうだったか」と経理の担当者に尋ねた。難しい言葉を並べて説明してくれるが、こちらは会計用語などよくわからない。利益といっても何種類もあって、それぞれに減ったり増えたりするという。
難しそうな顔をしている担当者にいく度も質問を繰り返したあげく、「わかった。早く言えば売上から費用を引いた残りが利益だから、売上を最大にして、経費は最小にすればいいんだな。そうすればあなたが言ういろいろな種類の利益も、すべて問題なく増えるわけだ」と言った。それに対し経理担当者は「それはそうなんですけれど、簡単に言うことはできないんです」などと答えていたが、私はその瞬間に「売上を最大に、経費を最小に」ということが経営の原点であることを理解することができた。
経営者は誰でも利益を追求するのだが、多くの経営者が売上を増加させようとすると当然経費も増えるものと思っている。これがいわゆる経費の常識なのである。しかし、「売上を最大に、経費を最小に」ということを経営の原点にすえるならば、売上を増やしていきながら、経費を増やすのではなく、経費は同じか、できれば減少させるべきだということになる。そういう経営がもっとも道理にかなっていることにそのとき私は気づいたのである。
(『稲盛和夫の実学』文庫新装版、p.34-35)