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寄稿㉜「モノづくり大国は必ず復活する」(『Voice』2000年1月号)

21世紀を間近に控えた2000年1月、稲盛は『Voice』の特集「2000年から日本の時代」に「モノづくり大国は必ず復活する」と題して寄稿しました。この中で稲盛は、戦後の日本経済を振り返り、日本人及び日本企業の行動パターンとして、「懸命に努力はするものの、すぐに慢心し傲慢になりやすい」点と、「集団での行動を好む」点の2つの特性を挙げながら、21世紀の日本にはモノづくりが適していることを次のように語りました。
「21世紀、日本企業はどのような方向性をめざしていけばいいのであろうか。基本的には、それぞれの企業が独立自尊の精神をもち、自社の特徴、得意の分野を生かすような戦略を立てるべきであろう。
ただし、私が製造業出身だからかもしれないが、もし日本全体でめざすべき方向があるとすれば、それは高付加価値製品をつくりだす製造業ではないかと考えている。
先に私は日本人の特徴の1つとして、協調性と忍耐力があり集団で行動することを好む点を挙げた。この特徴は、独創性を発揮しなければならないソフトの分野では短所となるが、共同作業が必要となるモノづくりでは長所となる。(中略)
情報通信産業などと比較すると、モノづくりは時代遅れであり、付加価値も低いように見えるかもしれない。しかし、はたしてそうであろうか。私は40年前にファインセラミック部品メーカーとして京セラを創業した。そのとき製造業は人間の知恵を注ぎ込むことにより、いくらでも付加価値を高められることに気がついた。(中略)
しかし、それはモノづくりをしていれば、誰でも成功できるということを意味するものでも、これまで製造業で成功した企業は今後とも成功し続けるということを意味するものでもない。付加価値の低いものを大量生産するだけの製造業では決して生き残れないであろう。21世紀のグローバル競争のなかで生き残れるのは、たとえ規模は小さくとも、自社でしかできないような高付加価値品を少量多品種製造できるような企業であろうと私は考えている。」