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『稲盛和夫の実学』文庫新装版⑦

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『稲盛和夫の実学』文庫新装版(日経BP)から、稲盛の言葉をご紹介いたします。

経済活動においては、必ずモノとお金が動く。そのときには、モノまたはお金と伝票が、必ず一対一の対応を保たなければならない。この原則を「一対一対応の原則」と私は呼んでいる。

これは一見当たり前であるが、実際にはさまざまな理由で守られていないのが現実である。たとえば、伝票だけが先に処理されて品物はあとで届けられる、これとは逆に、モノはとりあえず届けられたが、伝票は翌日発行されるといったことが、一流企業と言われる会社でも頻繁に行われている。このような「伝票操作」ないし「簿外処理」が少しでも許されるということは、数字が便法によっていくらでも変えられるということを意味しており、極端に言えば企業の決算などは信用するに値しないということになる。(中略)

「一対一対応の原則」とは、このような事態を防ぎ、発生したすべての事実を即時に認識し、ガラス張りの管理のもとに置くということを意味する。社内に一対一の対応を徹底させると、誰も故意に数字をつくることができなくなる。(中略)

この「一対一の対応」における要諦は、原則に「徹する」ことである。事実を曖昧にしたり、隠すことができないガラス張りのシステムを構築し、トップ以下誰もが「一対一対応の原則」を守ることが、不正を防ぎ、社内のモラルを高め、社員一人一人の会社に対する信頼を強くするのである。

またこうすることにより、伝票の数字の積み上げが、そのまま会社全体の数字になり、それにもとづいた決算書が会社全体の真の姿をあらわすようになる。(『稲盛和夫の実学』文庫新装版、p.63-65