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連載「稲盛和夫の口ぐせ」-第4回「待たんか!」

「待たんか!」――稲盛和夫との打合せでは、この言葉にしばしば遭遇します。
まずは冒頭、すぐにでも説明を始めようとする担当者を「待たんか」と制し、稲盛は微動だにせず、目をつぶり、考え込みます。これは、多忙なスケジュールの中で直前の案件を整理しているのです。つまり、前の案件を引きずりながら、次の案件に中途半端に臨むことを回避しているのです。頭の中で前件を着地させたなら、いよいよ打合せ開始です。
案件の説明が始まっても、腑に落ちないとき、稲盛はすぐに「待たんか」と制止し、背景や事実関係をただしていきます。曖昧な理解を良しとしないのです。
最も稲盛らしいのは、判断を下すときです。軽微な案件でも、しばし沈思黙考することがほとんどでした。自分の出した結論の正邪を、「動機善なりや、私心なかりしか」と心の奥底で静かに確かめていたのでしょう。この沈思黙考時の稲盛からは、言葉に発しない「待たんか!」が、まさに聞こえてくるようでした。
写真: 話の途中に上を向き考え込む稲盛(撮影 ライブワン/菅野勝男)