高まるガスセンサの需要
ガスセンサは、気体中に存在する可燃性ガス・毒性ガス、呼気のアルコールやにおいなどを検知するセンサです。近年では、SDGsの達成にむけて、地球温暖化の要因と言われる二酸化炭素(CO2)削減への取り組みや、職場の空気質環境への規制強化などに伴い、ガスセンサの用途も多様化しています。製造現場においてはCO2の監視ニーズが強まり、CO2センサの需要が増大しています。同様に、屋内外での"空気の質"への注目度も高くなっており、BEMS(ビルエネルギー管理システム)をはじめ、さまざまな場所において空気の質を監視する需要も増えています。
屋外

車内

オフィス

ビル内

CO2センサとして注目が集まる
NDIR式ガスセンサ
CO2の検出においては、赤外線を用いた
NDIR(Non Dispersibe InfraRed:非分散型赤外線吸収法)式のガスセンサがよく使用されますが、上述のような背景から、NDIR式ガスセンサの需要拡大が期待されています。京セラでは、NDIR式ガスセンサの新たな選択肢として、セラミックパッケージをご提案しています。
NDIR式ガスセンサに新たな選択
受光素子/発光素子の搭載に活用できる
「セラミックパッケージ」
NDIR式ガスセンサは下図のように、赤外線を用いた「発光素子」と、赤外線を受光する「受光素子」がセットで必要となります。
対向型イメージ

反射型イメージ

発光素子
発光素子にはLEDやMEMSマイクロヒーターなどが使用されますが、メタルCANパッケージからセラミックパッケージに置き換えることで、リード(ピン)レス化による表面実装が可能となり、小型・薄型化することができます。
発光素子用
パッケージ実装例

受光素子
受光素子にはフォトダイオード(PD)、サーミスタ、サーモパイル、焦電センサなどが使用されますが、セラミックパッケージを使用することで、有機パッケージでは難しい気密封止が可能になり、真空封止にも対応できるため、赤外線センサの感度向上が期待できます。また、積層して製造するセラミックパッケージは3次元の構造が容易に作れる為、光学フィルターを落とし込むキャビティ(棚)の形成が容易で、2波長検出方式に対して、Refarence用とCO2 測定用の受光素子を1パッケージに収納させることも可能です。
2波長検出方式用の
1パッケージタイプ

その他にもセラミックパッケージは発ガスが少なく、熱放散性・耐熱性も高いという特長を持っており、車載用途などの過酷な環境下でも、より高いセンシング制度の維持が期待できます。
京セラでは光学リッドも取り扱っております。
ガスセンサ向け
セラミックパッケージの特長


1封止技術
- ガラス、Si、Ge等との
接合が可能 - 気密封止、真空封止が可能
2中空キャビティ構造
- 中空構造によりチップ、ワイヤを保護
- ワイヤーボンディング棚により実装性向上
3セラミックパッケージ
- 高剛性、高耐熱材料
- 小型、薄型化が可能
- 発ガスが少ない
- Siと熱膨張係数が近い
42次実装
- 表面実装タイプ リフロー対応
- 側面メタライズが可能
半田フィレット形成による
実装強度向上
セラミックパッケージと
他材料パッケージの比較
メタルCANパッケージとの比較
セラミックパッケージへの置き換えにより小型・低背化
メタルCANパッケージ

セラミックパッケージ

メタルCANによるピン挿入実装から、リフロー対応可能な表面実装タイプへシフト。
加えて3次元配線による小型・薄型化を実現。
さらに、ご使用のチップサイズに合わせたデザインのご提案も可能です。
有機パッケージとの比較
有機パッケージよりも発ガス量が少ない
セラミックパッケージは有機パッケージと比較して、高温環境下で二酸化炭素をはじめとした発ガスが少ないことから、ガスセンサとしての精度向上に有効な材料であると考えています。



有機パッケージとセラミック
パッケージの発ガス量の比較
※分析方法:連続昇温GC-MS、60℃から310℃まで測定
有機パッケージ昇温加熱時の発ガス測定

セラミックパッケージ昇温加熱時の
発ガス測定

※京セラにて測定実施
セラミックパッケージは小型化・薄型化ができ、高温環境下で発ガスが少ないという特長に加え、高耐熱、高剛性、またSiに近い熱膨張率を有しているという点から、実装信頼性の向上も期待できます。高信頼性が必要とされる用途に是非セラミックパッケージをご活用ください。
セラミックパッケージ使用時
の封止オプション
封止方法の種類
封止方法 | ガラス封止 (Frit材) |
樹脂封止(Epoxy系接着剤) | AuSn/半田封止 | シームウェルド 封止 |
|
---|---|---|---|---|---|
リッド 基材 | セラミック | 金属 | |||
封止温度 | 340℃~ | 120-150℃ | 320℃ | 素子部 200℃以下 |
|
長所 | 生産性高い (連続トンネル 炉使用) |
低温(150℃以下)で封止可能 (搭載する素子への熱の負担が 少ない) |
熱応力少ない | 素子への負担 少ない |
|
短所 | 封止温度が 比較的高い 低融点Frit材に鉛含有 |
生産性低い 気密性劣る (水分透過) |
生産性低い 気密性劣る (水分透過) |
封止温度 比較的高い 半田封止材は 鉛含有 |
生産性低い 封止応力高い |
備考 | 鉛フリー ガラスもあり (封止温度460 ℃ ) |
ガラスリッド,シリコンリッドも 提供可能 Bステージ(半硬化)Epoxyで供給 可能 |
AuSnは 真空封止可能 |
・真空封止可能 | |
構造イメージ PKG/LID |
![]() (水晶デバイス) |
![]() (CMOSセンサ) |
![]() (半導体式ガスセンサ) |
![]() (トランジスタ) |
![]() (SAWデバイス) |
ご必要な特性に合わせ最適な封止方法を提案致します。
各封止方法に適したオープンツール品も多数取り揃えております。
実装方法に合わせて、
フレキシブルにご提案!
出荷形態の選択オプションを
ご紹介します
個片出荷
パッケージを個片化して出荷

MAT出荷®
※MAT:Metal frame with Adhesive Tape
既に個片化されたパッケージを粘着テープ上に搭載し出荷
メタルフレーム材質は、
SUS材
※「MAT出荷」は京セラ株式会社の登録商標です
基板出荷
Vカット付き基板で出荷

Vカット(スナップ)入り基板出荷
⇒実装後に、容易に個片化可能


ご要望に応じた多様な出荷形態が可能です。
出荷時の制約がございましたらご相談ください。
セラミックパッケージは
他にもさまざまな方式の
ガスセンサに活用いただけます
半導体式ガスセンサ
MEMSチップを用いたガスセンサの増加に伴い、従来のピン挿入タイプのメタルCANから、表面実装(SMD)タイプへのシフトが加速。3次元配線が容易な積層型セラミックパッケージング技術の活用で、さらなる小型・薄型化のガスセンサ開発をサポートします。
電気化学式ガスセンサ
化学反応を用いた一酸化炭素やNOxガスなどのより高精度なセンシングには、高い選択性を持つ電気化学式ガスセンサが使われます。セラミック材料のアルミナは、酸やアルカリ水溶液に対しても変化が少なく、強い耐薬品性を有しており、電気化学式ガスセンサにも有効です。
その他のガスセンサ
水素センサや酸素センサ、においセンサなど、各種ガスセンサの開発に京セラのセラミックパッケージをご活用ください。豊富なオープンツールパッケージの活用により、初期ツールコストをかけずに評価していただけます。ご不明点など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
オープン図面の送信、
カスタム図面作成、お見積り
すべて無料で対応いたします