ビジネス向けモバイル端末

600床規模の医療機関で看護業務をデジタルシフト

高耐久スマホ導入で進む医療DX。PDAや院内PHSをスマホ1台に集約させて病院の業務効率化。

武蔵野赤十字病院様

背景・経緯と効果・期待

背景・経緯

  • 電子カルテの更新をきっかけに、看護業務のDXを目的としたスマートフォンの導入を検討
  • 2025年12月の新病棟開設にあわせ、段階的に院内PHSの一部をスマートフォンに切り替えていく

効果・期待

  • PDA(携帯情報端末)からスマートフォンへの切り替えによる、記録業務の効率化とスピードアップ
  • 夜間に電子カルテのパソコンを持ち運ぶ必要がなくなり、カートを押す音などによる患者の生活環境が改善
  • PHSとPDAをスマートフォンに一本化することによる、さらなる業務効率化とスムーズな情報共有
  • 新病棟の全室個室化において、きめ細やかな状況把握と業務効率化の両立を目指せる

製品情報

  • 高耐久スマートフォン DuraForce EX:200台(KC-S603)
  • 電池パック:90個(LBS702)
  • 電池パック単体充電器:90個(ODB701)

お客様の声

武蔵野赤十字病院は、東京都武蔵野市にある病床数586床の医療機関です。高度急性期医療や三次救急医療にも対応する、地域医療連携拠点としての役割も担っています。

2025年12月に開設の新病棟は全室個室となるため、限られた人数で患者一人ひとりに手厚いケアを行えるようにと、現場業務を1台でこなせる、京セラの高耐久スマートフォンDuraForceシリーズを導入しました。

三点認証、電子カルテの入力、院内PHSの代替、ナースコール連携など、PDAとPHSをスマートフォン1台に集約することを見据えた医療現場のデジタル化について、医療情報管理課の岡田様・尾喜様にお話を伺いました。

  • 2025年12月現在
  • 本記事は岡田様・尾喜様へのインタビュー内容を編集して掲載しています。

電子カルテ更新と新病棟開設がスマートフォン導入の第一歩

看護師が高耐久スマートフォン「DuraForce EX」を操作する様子
電子カルテの入力に使われている高耐久スマートフォン「DuraForce EX」

武蔵野赤十字病院では、電子カルテの更新をきっかけに、看護業務のDXを目的としたスマートフォン導入の検討が約2年前から始まりました。加えて、2025年12月に開設された新病棟が全室個室となることをうけ、従来と変わらずきめ細やかなケアを提供するには、医療現場のデジタル化が欠かせないと確信。2025年5月、スマートフォンの導入に踏み切りました。新病棟では、PDAとPHSをスマートフォン1台に集約する構想です。

「およそ3段階にわたっての導入を予定しています。まずは電子カルテや三点認証など、情報管理のための端末として。次に2025年12月の新病棟の開設に伴い、スマートフォンを院内PHSの代替としてナースコールと連携して使用します。さらに2026年5月には、病棟ナースの働き方改革として、電子カルテと連携する輸液システム(スマートポンプ連携)での使用なども進めていく想定です。」(岡田様)

現在はPDAの代替としてスマートフォンを使用しており、スムーズな電子カルテへのバイタル入力や情報連携に活用されています。ナースコール連携も可能になり、患者さんからの通知をスマートフォンで受け取ることができるようになりました。スマートポンプ連携も始まれば、様子を見るために何度も個室を訪れる必要がないため、日々の業務における移動距離と時間を削減することができます。

コスト・衛生的・耐久性を軸に最適端末を選定

そこで選ばれたのが、京セラの高耐久スマートフォンDuraForceシリーズでした。



「DuraForceシリーズを選んだ理由は主に3つあります。1つ目は電池パックの交換が可能であること。電池が交換できないと、3〜4年後に本体の交換が必要となり、膨大なコストがかかるためです。次にアルコールで拭けて衛生的であること。業務上、アルコール消毒は不可欠なので、高いアルコール耐性が重要でした。最後にハードユースにも耐える堅牢性。他社製品も検討しましたが、この3点が決め手になりました。」(尾喜様)

DuraForceシリーズを選んだ理由を語る医療情報管理課の岡田氏と尾喜氏
右:武蔵野赤十字病院 事務部 医療情報管理課長 岡田 謙二郎様 / 左:武蔵野赤十字病院 事務部 医療情報管理課 係長 尾喜 拓也様

一方、ネットワーク面では無線通信(Wi-Fi®)を採用。本格的な音声通話利用やナースコール連携を見据えて、事前の動作評価を慎重に実施しました。

「動作評価は、最大の課題でした。運用コストを考慮して、Wi-FiによるVoIPIPネットワークを介して音声通話する技術)を選択したからです。しかし、現場で本当に使えるのか、病棟内の通信が途切れないかという不安があったので、京セラを含む複数のベンダーと連携して、現場に近い環境を構築。アクセスポイント間を移動する際のハンドオーバー性能(注:Wi-Fiハンドオーバーは自動的にWi-Fiのアクセスポイントをつなぎ替えながら通信の接続を維持すること)などを検証しました。全ての関係ベンダーのご協力により、懸念点はクリアされたので、DuraForceシリーズでいこうと決めました。」(岡田様)

営業担当者の熱意から生まれた信頼関係が導入を後押しした

医療現場のニーズに応えるDuraForceシリーズの性能、京セラを含む各ベンダーとの徹底した事前検証、加えて今回の導入を後押ししたのは、京セラの営業担当者の「熱意」でした。



「正直なところ、動作検証済みのスマートフォンならここまで手間はかからなかったと思います。それでもDuraForceシリーズを選んだのは、担当者さんの情熱があったからです。私たちと同じ目線になって一緒に考え、悩んでくれる“一生懸命な人”。私たちが気づかないことまで配慮し、スマートフォン用のネックストラップまで手配してくれました。そのような人とは末永くお付き合いしていきたい。そう思える関係性を築けたのも、今回の導入に至った理由だと感じます。」(岡田様)

武蔵野赤十字病院の岡田氏・尾喜氏と、京セラの担当者の集合写真
日常的に訪問し、「顔の見える関係性」を築いている

夜間業務の負担と、記録業務にかかる時間を削減

看護師がスマートフォンで患者のバーコードを読み取っている様子
スマートフォンで患者のバーコードを読み取り、スムーズな三点認証を実現

現在の主な利用シーンは、電子カルテの入力・閲覧、患者識別・薬剤照合のためのバーコードによる三点認証です。病棟内で端末を共有し運用されています。スマートフォンの導入により、大型カートを押して移動する必要がなくなり、業務の機動性が向上しました。

特に夜間はカートの走行音や、バーコード読取時に部屋全体の照明を点灯する必要があり、患者への負担も課題でした。しかし現在はスマートフォンのみで対応でき、夜間は端末の背面ライトを点灯して手元だけを照らしながら読取を実施しています。これにより従来の課題が解消され、患者はもちろん、看護師の心理的負担の軽減にもつながっています。なかでも現場から評価されているのは、写真撮影・記録機能です。

「写真撮影とデータ共有は非常に便利で、最もよく使う機能です。たとえば、傷の経過などを記録に残すとき、以前はデジカメで撮影した後、パソコンに接続して画像を取り込む必要がありました。今はスマートフォンで撮影すると、すぐに画像データが電子カルテに記録され、そのままパソコン上で見られます。画像を取り込むという作業がなくなりました。」(看護師)

今後、スマートフォンの活用範囲が広がれば、さらなる業務の効率化やストレスの軽減が期待されます。さらに新病棟の全室個室にあわせ段階的に導入されるスマートポンプ連携などにより、これまで以上に、医療従事者にとって働きやすく、患者にとって安心できる環境が実現します。

現場・患者・家族に寄り添うDXを加速していく

武蔵野赤十字病院の現病棟と新病棟の外観

武蔵野赤十字病院は、今後も院内全体のDXを推進していく方針です。まずは、DuraForceシリーズをPDAの代替として、続いて新病棟の稼働にあわせたPHSの代替、そしてスマートポンプシステム導入にあわせたナースコール連携など、段階的な展開を予定しています。また現在、主にスマートフォンを使用している看護師の評価を踏まえ、現場に合った活用法を模索しながら、医師やその他の医療従事者への拡充も検討していくとのことです。

また同院では、すでに看護師の研修用に京セラ製のWi-Fiタブレットも導入。患者説明用の動画コンテンツなど、今後さらにタブレットの活用強化も視野に入れています。

これからも医療現場に寄り添ったDXを進めることで、医療従事者はもちろん、患者やその家族にもより良い影響をもたらしていくことが期待されます。

京セラ担当者より

弊社では2023年頃より、医療現場の業務効率化やコミュニケーション改善を目的に、スマートフォンのご提案を進めてまいりました。当初は電子カルテやネットワークなど、各ベンダーとの検証が十分に整っていない状況でしたが、武蔵野赤十字病院より積極的に検証をお声がけいただいたことが大きな転機となりました。検討の過程では、看護部の皆にもご同席いただき、現場の課題を共有しながらデモや運用の確認を重ねることができました。

本取り組みをきっかけに、現在では全国の多くの医療機関で京セラ製スマートフォンをご採用いただいております。
今後も、医療現場のDX推進をご支援できるよう尽力してまいります。

販売元:京セラドキュメントソリューションズジャパン

武蔵野赤十字病院

所在地:東京都武蔵野市境南町1-26-1

URL:https://www.musashino.jrc.or.jp/

武蔵野赤十字病院の外観
  • 「DURA FORCE」は、京セラ株式会社の登録商標です。
  • Wi-Fi®は、Wi-Fi Alliance®の登録商標です。

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