トラックGメンとは?
荷主に求められる対応と物流DXの重要性を解説
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荷主・元請事業者の中には、国土交通省の取り組みである「トラックGメン」を耳にし、どのような対応が必要か調査している方がいらっしゃるのではないでしょうか。
トラックGメンとは、荷主・元請事業者の違反に該当する行為を是正・指導する取り組みです。違反の疑いがあった場合には働きかけや要請、勧告・公表といった措置が段階的にとられるので、荷主・元請事業者に対応が求められています。
本記事では、トラックGメンの概要や荷主に求められる対応を解説します。対応の一環として効果的な物流DXにも触れているので、ぜひ参考になさってください。
トラックGメンの概要
トラックGメンは、国土交通省によって2023年7月に創設された制度で、2024年問題を解決するためにトラック事業者への情報収集や働きかけなどを実施しています。
2024年問題とは、トラックドライバーの時間外労働への規制に伴う課題であり、労働時間が短くなることによる輸送能力の低下が懸念されています。
トラック事業者や荷主にとっては物流が滞るリスク、消費者にとっては当日や翌日の宅配サービスを受けられなくなるおそれがあり、広範囲に影響を与える問題です。
2024年問題の解決には、限られた時間で効率的に配送することが求められていますが、現状長時間の荷待ちや、仕分けやラベル貼りといった契約にない附帯業務などが発生しているケースがあります。
トラック事業者に対して不当な行為を行う荷主・元請事業者を是正するために、トラックGメンが発足しました。
トラックGメンは、荷主事業者の支店や荷捌き場などをパトロールしたり、目安箱への投稿から働きかけを行ったりして、日々取り締まりに取り組んでいます。
トラックGメン創設の背景と取り締まりによる罰則
トラックGメンが創設された背景には、トラックドライバーの労働時間が他の産業よりも長く、低賃金であることから担い手が不足している状況があります。
厚生労働省が令和4年(2022年)に発表した「トラック運転者の労働時間等に係る実態調査事業 報告書」において、もっとも長かった1日の拘束時間を自動車運転者に尋ねたところ、「13時間以下」52.9%についで、「13時間超~15時間以下」22.4%、「15時間超~16時間以下」13.0%であり、長時間労働が常態化しています。
賃金においては、厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、トラックドライバーを含む「運輸業、郵便業」の約285万円で、もっとも高い「電気・ガス・熱供給・水道業」の約400万円と比べると、約120万円低いのが実態です。
担い手不足解消のためのトラックドライバーの労働条件改善には、適正な取引を阻害するおそれのある荷主・元請事業者の監視や是正が不可欠であり、それを強化するためにトラックGメンが創設されました。
ここでは、悪質な荷主・元請事業者への働きかけや、違反した荷主・元請事業者への罰則などを詳しく解説します。
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荷主・元請事業者の監視を強化する取り組み
トラックGメンは、悪質な荷主・元請事業者への監視を強化する取り組みであり、以下のような行為に対して是正指導を行います。
上記の違反原因行為をパトロールで発見したり、相談窓口や目安箱で知ったりした場合には、以下のような流れで是正指導を行います。
1.働きかけ
2.要請
3.勧告・公表
違反原因行為の疑いがあると認められる場合にまず「働きかけ」を行い、相当な理由がある場合は「要請」、「要請」に応じなかった場合に「勧告・公表」といったように段階的な措置を実施しています。
トラックGメンの取り組みに対して荷主に求められる3つの対応
トラックGメンの取り組みにおいて、違反に該当した場合は働きかけがなされ、最終的に勧告が行われます。
取り締まりの影響を未然に防ぐためは、荷主に以下のような対応が求められています。
● 物流業務の効率化によって荷待ち時間を短縮する
● 適正な運送契約によって料金・運賃を明確に取り決める
● 輸送・荷役作業の安全を確保する
違反にかかわる部分の改善は、トラックGメンの取り締まりを避けるだけではなく、物流業者と良好な関係を築くことにもつながります。
物流業務の効率化によって荷待ち時間を短縮する
働き方改革関連法の「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」によって、ドライバーの労働時間が規制され、上限を超えた場合には罰則が課されることから、規制の範囲内で物流業務を行えるように効率化が欠かせません。
トラックGメンの取り締まりの対象の中でも長時間の荷待ちはもっとも多く発生しているため、物流業務の効率化による荷待ち時間の短縮は非常に重要です。
たとえば、各業者の荷役作業に時間がかかって荷待ち時間が長くなっているなら、荷役作業の何に工数がかかっているかを把握し、課題を解決する必要があります。
輸送場所の立地や検品作業などに問題がある場合も考えられるので、物流業務の課題にあった対策で効率化を目指しましょう。
適正な運送契約によって料金・運賃を明確に取り決める
荷主・元請事業者への違反原因行為で多い「契約にない附帯業務」「運賃・料金の不当な据置き」が起きないように、明確な運送契約を結ぶ必要があります。
契約に含まれていない業務を要求したり、正しく対価が支払われていなかったりする状況がある場合には、適正な内容で契約を締結し直します。
契約内容を見直す際は、必要な業務とそれに対する料金を洗い出すことが大切です。たとえば、トラックドライバーが荷役業務まで担っているなら、荷役に対する報酬を契約に含める必要があります。
長距離の運送で高速道路を利用する場合は、高速料金を荷主事業者が支払うのが基本です。
契約内容に必要な業務がすべて含まれているか、業務への対価を正しく設定できているかを双方で確認する必要があります。
輸送・荷役作業の安全を確保する
荷主事業者には、輸送や荷役作業におけるトラックドライバーの安全を確保する配慮が求められます。
参考:事業用自動車の安全対策:自動車総合安全情報|国土交通省
無理な時間設定での配送を要求すると最高速度違反、異常気象時に運行指示を行うと輸送安全確保義務に違反するおそれがあります。荷役をトラックドライバーに任せた場合には、荷物の落下や作業中の転倒などでケガをするかもしれません。
輸送や荷役などで無理な要求をせず、安全を第一にしたコミュニケーションが大切です。悪天候時は迅速に運行中止や中断を判断したり、荷役作業で安全確保に努めたりするなど、安全への配慮を徹底してください。
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トラックGメンへの対応には物流DXが重要
トラックGメンの取り締まりの対象となる長時間の荷待ちや無理な運送依頼などの改善には、物流にデジタル技術を活用する「物流DX」が効果的です。
たとえば、効率的な運送依頼を実現するためには、システムによる集荷や配車などの管理が効果的です。届け先に近いトラックに配送を依頼したり、集荷のルートを構築したりすることで、無駄のない配送が可能になります。
物流DXに活用できる技術は、日々進化しており、新しいテクノロジーも続々登場しています。物流分野のデジタル技術の動向に注目し、効率化に活用できるものを積極的に導入していきましょう。
参照:トラックGメンに関するオンライン説明会 Vol.4「1.具体的な施策 (2)物流の効率化」|国土交通省
物流DXには京セラのスマートフォンと「らくらくバース管理」がおすすめ
トラックGメンの創設により、長時間の荷待ちや契約にない附帯業務などが生じた場合に是正指導が行われるようになりました。
働きかけや要請が行われ、改善を図らなかった場合には勧告・公表に進むため、違反原因行為を確認できているなら早急な対策が必要です。
トラックGメンの取り組みをきっかけに物流体制の改善を図る際は、物流DXの推進を検討しましょう。荷役作業の自動化やシステムによる配車管理などにより、取り締まりの対象にならないことはもちろん、物流事業者や荷主と良好な関係を構築できます。
物流DXには、京セラのスマートフォンと「らくらくバース管理」がおすすめです。
トラックが荷物を積み下ろすために接車するスペースである「バース」をスマートフォンから手軽に予約でき、ドライバーの待機時間削減や受付対応の効率化などを実現できます。
バースの予約を受けつけることで、トラックの集中を防ぎ、混雑緩和や管理業務の省人化などをかなえます。物流倉庫の管理者や運送会社などの課題を解決できるのが魅力です。非対面での受付対応によって、受付スペースのコストをなくし、担当者の人件費も抑えられます。
また、受付や入場、作業開始などの実績を自動で記録することで、実績時間の管理も容易になり、工数を大幅に削減できます。
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