UV LED光源

UV硬化型液状ガスケット(CIPG)とは?

液状ガスケットとは?

対象物の構造に気密性を持たせるために用いられる固定用シール材をガスケットといいます。
一般的には、金属製の硬質ガスケットや、ゴム製の軟質ガスケット等の「固体ガスケット」が多く使用されています。
一方で、主に自動車部品を中心として、「液状ガスケット」の使用例が近年増加しています。
固体ガスケットと液状ガスケットの主な違いは、ガスケット形状の自由度です。あらかじめ対象物に合わせた形状に成形する固体ガスケットに比べ、液状ガスケットはディスペンサーによる塗布で成形するため、より自由な形状に成形可能です。

液状ガスケットの種類

液状ガスケットは、主に二種類のガスケット材に分類されます。
一つ目は「FIPG」です。 「Formed In Place Gasket」の略で、発泡フォームを用いた液状ガスケットです。液状の発泡フォームを塗布し、シール面同士を接着させてから、加熱もしくは空気中の水分を吸収することで硬化します。
二つ目は「UV硬化型液状ガスケット(CIPG)」です。CIPGは「Cured In Place Gasket」の略です。液状のUV硬化樹脂を片側のシール面に塗布し、UV照射により硬化させてから、反対側のシール面を密着させます。
本ページでは、CIPGの特長に焦点を当てて解説します。

◇FIPG

FIPG

◇UV硬化型液状ガスケット(CIPG)

CIPG

CIPGの特長

固体ガスケットやFIPGと比べて、CIPGが有する特長について、次の項目で比較します。

  • 工程自動化

  • シール面粗さ

  • 幾何公差

  • 締め付け力

  • サイクルタイム

  • メンテナンス性

工程自動化

固体ガスケットは、作業員が手作業で取り扱う必要がありますが、CIPGやFIPGは、ディスペンサーによる自動塗布が可能です。組立作業の自動化が可能になることで工程の省人化につながります。複雑な形状のガスケットが必要な場合は特に自動化による省人効果が大きくなります。

CIPG
FIPG
固体ガスケット

シール面粗さ

固体ガスケットを用いる場合、気密性を保持するためにシール面の仕上げ加工が必要です。シール面が粗いと、気密性を損なう恐れがあります。
一方、CIPGやFIPGは、塗布した時点は液状であるため、シール面に多少の凹凸があっても浸透します。したがって、シール面の仕上げ加工コストを抑えることができます。
CIPGは片面に塗布し、硬化してから両面を密着させるため、塗布面の仕上げ加工コストを低減可能です。また、硬化後も弾性を保持するため、密着面の粗さを固体ガスケットほど精密に仕上げる必要がありません。
FIPGは片面に塗布後、硬化する前に両面を貼り合わせるため、両面の仕上げ加工コストを抑えることができます。

CIPG
FIPG
固体ガスケット

幾何公差

シール面の幾何公差も、漏れ発生を防ぐために重要な項目です。
例えば、固体ガスケットを使用する場合は、シール面同士の平行度や、シール面間のクリアランス寸法に影響する各部品の寸法を厳密に管理する必要があります。一方で、CIPG、ならびにFIPGは、多少幾何公差を大きく設定できます。

CIPG
FIPG
固体ガスケット

締め付け力

それぞれのガスケットでは、気密性の保持に必要な締め付け力が異なります。
一般的な固体ガスケットは、ガスケット自体の弾性が低いため、ボルト等によって強い力で締め付けることで気密性を保持します。
一方でCIPGやFIPGは、硬化後のガスケットが弾性を保持するため、強固な締め付けではなくても気密性を保持します。
また、高い弾性を保持するメリットとして、経年的な変形や振動による気密性低下のリスクを小さく抑えることができます。

CIPG
FIPG
固体ガスケット

サイクルタイム

液状ガスケットはメリットばかりではありません。
液状ガスケットには塗布工程と硬化工程が必要なため、固体ガスケットよりも組立工程のサイクルタイムが長くなってしまいます。
しかし、CIPGはFIPGよりも硬化時間が短く、比較的サイクルタイムを短くできる液状ガスケットです。

サイクルタイムグラフ

メンテナンス性

自動車用エンジンやリチウムイオンバッテリーのケースなど、分解して再度組み立てる使用用途があります。
CIPGは、シール面の片側にだけ接着しているため、分解・再組立が可能です。
しかし、FIPGは両面に接着しているため、分解するとガスケットが破れます。そのため、再度組み立てることはできません。

CIPG
FIPG
固体ガスケット

CIPGの用途

CIPGは、リチウムイオンバッテリーやパワーコントロールユニット(PCU)のケース電子制御ユニット(ECU)等、電気自動車やハイブリッド車等に搭載されている部品の防水/防湿/防塵対策として採用されています。また、スマートフォンなどのモバイル機器やデジタルカメラなどの光学機器にも使用されています。

CIPGの用途

まとめ

本ページでは、近年採用が増加しているCIPGについて解説いたしました。
京セラはCIPGの硬化工程で使用されるUV LED光源を開発/製造しております。
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