UV LED光源

UVランプから
UV LED光源への
置き換えが進む理由

最適な
UV(紫外線)光源
とは?

印刷機や樹脂コーティング設備等で使用されているUV光源ですが、使用条件に適したUV光源を採用することが重要です。ただし最近では、技術革新による性能向上や環境規制の強化など、UV光源の選定において意識すべきことが変わりつつあることをご存知でしょうか?
本ページでは、代表的な2種類のUV光源(UV照射器)の発光原理や特長、さらにはUV光源業界のトレンドについても解説いたします。

UV照射装置における
UV光源
(UV照射器)の種類

UVランプ(紫外線ランプ)光源

UVランプは、高圧水銀ランプや、メタルハライドランプなどに分類されます。
アーク放電により励起された金属蒸気が基底状態に戻る際、エネルギー差が光として放出される現象を主に利用します。
高圧水銀ランプは、水銀蒸気が発光管に封入されているランプです。主に半導体製造工程における露光(フォトリソグラフィ)装置に採用されています。
メタルハライドランプは、発光管内の水銀蒸気に金属のハロゲン化物蒸気が添加されているUVランプです。

メタルハライドランプの発光原理

メタルハライドランプの発光原理イメージ

UV LED(紫外線LED)光源

UV LED光源は、LED(Light Emitting Diode)素子から放出される光を利用します。LED素子はp型半導体とn型半導体が接合されており、順方向の電流が流れると接合部にて電子とホールが再結合し、そのエネルギーが光として放出されます。放出される光の波長はLED素子の材料種類によって変わり、UV LED光源用のLED素子にはGaN系の半導体材料が主に使用されています。

LED素子の発光原理

LED素子の発光原理イメージ

UVランプとUV LED光源の
違い

UVランプとUV LED光源との違いとして、下記の3つがあげられます。

  1. 発光特性
  2. 使用条件
  3. 環境負荷

①発光特性の違い

UVランプは、金属蒸気が励起状態から基底状態に戻る際の発光だけでなく、発光管内の水銀イオンと電子の再結合による発光も利用するため、幅広い波長のUVを照射可能であり、UV照射の総出力が高いことが特長です。ただし、エネルギー効率の観点では、ジュール熱やアーク放電による損失が大きいことがデメリットです。一方でUV LED光源は、電気エネルギーを直接光エネルギーに変えるため、熱損失を抑えることができ、効率よく光が得られます。しかし、特定のUV波長のみしか照射できず、総出力はUVランプよりも低くなります。

②使用条件の違い

次に使用条件での比較です。UVランプは発光原理上、放電電極部品やガスが封入された発光管が必要なため、光源サイズが大型になります。一方でUV LED光源はLED素子と冷却機構のみで成立するため、UVランプよりも筐体サイズが小さいことが特長です。またUVランプは、ジュール熱やアーク放電による熱(局所的に1,000℃以上)が電極材料の熱蒸発や発光管の熱歪みの原因となり、発光管の透過率低下や破損を引き起こします。そのため、光源寿命がUV LED光源よりも短いことがデメリットです。また、点灯速度がUV LED光源よりも遅く、頻繁にON/OFF制御が求められる用途にはあまり向いていません。

③環境負荷の違い

最後に環境負荷の違いです。前述の通り、UVランプは水銀蒸気や、ハロゲン化物蒸気を使用するため、廃棄には十分な処置が必要です。また、UVランプから放出される短い波長(約185nm)のUVを大気に照射すると、微量のオゾンが発生します。オゾンは人体に有害なガスであるため、排気用ブロアの設置など、十分な対策が必要です。
一方で、UV LED光源は金属蒸気を使用しておらず、またオゾン発生の危険もないため、環境負荷が小さいUV光源です。また、UVランプよりも少ない消費電力で使用できることからも、より地球環境にやさしいUV光源だと言えるでしょう。

UVランプ

幅広い
波長スペクトル

総出力が
高い

UV LED光源

環境負荷
物質が
少ない

オゾン発生
無し

長寿命

高エネルギー
効率
(低発熱)

素早い
ON/OFF制御

省スペース

UV光源業界の潮流

2013年10月に、熊本県水俣市にて開催された外交会議にて、「水銀に関する水俣条約」が採択され、2017年8月16日に発効されました。この条約は水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的としており、採掘から流通、使用、廃棄に至る水銀のライフサイクルにわたる適正な管理と排出の削減を定める内容となっています。
その結果、一般照明用の高圧水銀ランプの製造及び輸出入は、その水銀含有量にかかわらず原則禁止(※ 2021年以降も、一般照明用の高輝度放電ランプのうちメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、バラストレス水銀ランプの製造・輸出入は可能)となりました。今後さらに規制が強化されるかはわかりませんが、高圧水銀ランプからUV LED光源へ置き換える動きが目立つようになりました。さらには、パリ協定やCOP19等でのCO2削減目標の存在が、よりエネルギー効率の高いUV LED光源への置き換えを後押ししています。
一方でUV LED光源の弱点であった発光出力ですが、LED素子の改良により年々高出力化が進んでいます。それと同時にさらなる長寿命化も期待されています。今後UV LED光源の性能が向上することで、さらにUV LED光源の採用用途が拡大していくでしょう。

水銀フリーイメージ

まとめ

本ページでは、2種類のUV光源について解説しました。
京セラは、UV LED光源を開発/製造しております。
UV LED光源に関するご不明点がございましたら、何でもお気軽に弊社へお問い合わせください。

また、京セラと他社様のUV LED光源仕様を比較した調査レポートをご提供しております。
下記リンク先にてレポートをダウンロードできますので
ぜひお客様にとって最適なUV LED光源の選定にお役立てください。

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