ユーザー目線のAIで
顧客に合わせて変化する
「ECM/CSPソリューション」を
コロナ禍で起こったオフィスワークの変化を、
チャンスと捉える「ECM/CSPソリューション」
仕事のデジタル化が進み、どの業種においてもあらゆる知識、情報がデータ化されています。そのような中、人材が増えれば増えるほど、業務領域が広がれば広がるほどに煩雑化するデータ管理。コロナ禍をきっかけにオフィスワークとリモートワークのハイブリット化が急速に進んだこともあり、各種データを一元的に管理・運用し、蓄積された知識を埋もれさせることなく仕事に生かしたいというニーズは高まり続けています。
「オフィスワークの効率化」という大命題に対し、長年培ってきた複合機・プリンター事業のノウハウを生かして取り組んでいるのが、京セラドキュメントソリューションズ ディベロップメント アメリカ(以下:KDDA)の開発メンバーたち。カリフォルニア州に拠点を置く研究チームは、ハード・ソフトの両面から開発に挑み、ビジネスの現場に新たな価値をもたらす革新的な技術を生み出そうとしています。
ECM/CSPソリューション
データの取り込み、保管、閲覧を効率化し、回覧などのワークフローも自動化します。また、基幹システムやデータベースとのシームレスな連携によって、PCやモバイル端末から社内の情報を横断的に検索したり、関連文書を表示させたりすることが可能となり、業務量の軽減やプロセスの簡素化を実現します。
複合機・プリンター事業から領域を広げ、
ビジネスの包括的な効率化を目指す
※ECM:Enterprise Content Management、CSP:Content Services Platform
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General ManagerBusiness Solutions Division
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KDDA President
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Machine Learning EngineerBusiness Solutions Division
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Department Manager,
ASIC and AI ResearchSoftware Development Division -
Department Manager,
Software ArchitectureSoftware Development Division
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テキストやメール、音声・画像、スキャンされた文書まで、ビジネスの効率化のために、オフィスのあらゆるデータを一元管理することを目指すのが、私たちの「ECM/CSPソリューション」事業です。私はコロナ禍で働き方が大きく変わった今、この事業に対するニーズがかつてないほどに高まっていると感じています。
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コロナ禍の影響もあり、世界中で「オフィスに縛られない働き方」が広がりましたからね。オフィス勤務が当たり前だった時代も、データの分散や埋没は課題でしたが、働き手が「拠点」から解放されたことで、その解決が急務になったと思います。誰もが、どこからでも、簡単にデータにアクセスできて、閲覧・保管・回覧がスムーズに行えることは、「業務の土台」として、なくてはならない大前提になっていくと考えています。
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お客様のニーズに合わせたソフト開発を担当されていますが、コロナ禍になったことで芽生えた、新たな要望などはあったんでしょうか?
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複合機やプリンターの機能面で言うと、感染防止対策の観点から「タッチレス」を望む声が爆発的に増えました。音声入力やモバイル端末からの操作で、機器に触れずに印刷やコピーなどのタスクをこなせることが求められました。
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タッチレスは、コロナ禍になったことでより顕著になったニーズではありますが、AI音声認識サービスを搭載した製品などを使って複合機やプリンターを操作することは、機器の機能を最大限生かすことにもつながる、という新しい発見もあったんです。
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確かに、現在はタッチパネルで操作する複合機やプリンターが普及していますが、オフィスで働く人たちが、その機能全てを完璧に使いこなすのは難しいですよね。
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AI音声認識サービスを搭載した製品などで、複合機やプリンターの持つ拡張機能を誰もが気軽に使えたら、オフィス業務をますます効率化できそうですね。この事例のように、外からAI技術を持ち込んで複合機やプリンターとコラボさせていくという方法もありますが、私たちの製品自体にAIや機械学習機能を取り入れるための研究開発も進めています。
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AIを使った文書解析についてのソリューション開発は、私が担当しています。印刷された書類からその文字を読み取るという技術は、アナログデータのデジタル化や業務効率化のためにすでに市場に広がっていますが、私が取り組んでいるのは、それを一歩先に進めた技術開発。AIによって文書の特徴やキーワード抽出、分類、保存などの処理を行うことを目指しています。
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その技術が完成すると、具体的にはどんなことが可能になるんでしょうか?
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現在想定しているゴールは、複合機を使って読み取った文書をAIが判読し、「この内容ならこのフォルダに」「この種類の書類はあの人のところへ」と、抽出からデータ格納までを自動で行えるレベルです。これまで人が手作業で行っていた事務作業を自動化できるので、空いた時間をクリエイティブな業務に使えるようになるはずです。
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なるほど。私もAI関連の技術開発を行っていて、直近では超解像度のスキャンプログラムを完成させたところです。この技術を使えば、複合機を使って文書などをより鮮明にデータ化できる他、白黒の古い写真をカラー化するようなことも可能に。こういった拡張機能をオフィスに提供できるのが、京セラドキュメントソリューションズの特長かもしれないですね。
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確かにそうですね。もともと複合機・プリンターのメーカーからスタートし、機器の活用範囲を広げるように業務をアシストするためのソリューションを提供しているので、オフィスにある機器を買い替えることなく、「カスタマイズ」で機器の性能をアップグレードしていける点は、お客様からも好評です。技術者としても新しい技術をスピーディにビジネスの現場に届けられるので、達成感を感じやすいですね。
「みんなのためのAI」を搭載することで、
ソリューションに“柔軟性”を取り入れる
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コロナ禍になってより強く感じましたが、オフィスを取り巻く環境や働き方は、常に変わり続けていくもの。だからこそ、先ほどのお話にあったような現場の課題を柔軟に、そして素早く対応できる技術展開力が求められています。私たちが持つそういった力は、これからも事業を支える強みであり、強くし続けていかなければならないと思いますね。
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私はその“柔軟性”を、これから開発するAI技術にも取り入れたいと思っています。これまでのAIシステムは、高度な知識と技術を持ったエンジニアが設計・実装することが当たり前でした。しかし、専門家の手によってしか調整・変更ができないということは、現場のニーズに素早く対応できないということにつながると思うんです。
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そうですよね。研究開発にあたって、技術者視点だけに重きを置いてしまうのは禁物。導入後のお客様の使いやすさやニーズに合わせた柔軟性など、「顧客視点」がないソリューションは、結果として競合との競争に負けてしまいます。
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だからこそ私は、AIという高度な技術を搭載しながらも、使う人が自分のニーズに合わせて直接調整できたり、業務に合わせて仕様を変えられたりする、「みんなのためのAI」を実現したいんです。誰もが簡単に、対話をするように機能を高められていく。そんなAIが実現すれば、私たちの「ECM/CSPソリューション」は、業界や業種に関係なく、広く求められる技術になっていくと思います。
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素晴らしい夢ですね。私も長年エンジニアをやっていますが、研究に失敗はつきもの。障害物はいくつも現れますし、行き止まりになってしまうこともあります。でも失敗を重ねるということは、その分成功に近づいている証拠。若手のエンジニアには、そのことを忘れないでほしいです。
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困難に遭遇したとき、私はいつも京セラの創業者 稲盛和夫の「チャレンジ精神をもつ」というフィロソフィを思い出すんです。この言葉は私に、さまざまなことに好奇心を持ち、自分の限界を突破していく重要性を教えてくれましたし、プロジェクトが思い通りに進まないようなときでも、今一度、気持ちを奮い立たせる原動力になっています。
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失敗をしたら一度スタート地点に立ち返って原因を分析し、再度チャレンジをしていく。私はこのサイクルをできるだけ早め、開発を次々に行っていくことが重要だと思っています。チャレンジして、試作品を作って、できるだけ素早くお客様の元へ届ける。そういった小さな成功が積み上がった先に、大きな成果が待っているはずです。
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機器やソフトを単に販売するのではなく、ビジネスを成長させていくパートナーになることが、「ECM/CSPソリューション」事業が目指すべきゴール。日々お客様との対話を重ね、「顧客視点」の考え方を忘れずに研究開発に挑んでいくことで、ビジネス現場の明日を照らすような新技術を実現していきましょう。